(VOVWORLD) - バイチョイの維持・発展を願う最も重要なことは若い世代にこの芸能を理解してもらい、好きになってもらうことです。
ホアイ こんにちは、ホアイです。
ソン こんにちは、ソンです。先週のハノイ便りは、ベトナムの11番目の無形文化遺産となった民俗芸能「バイチョイ」の維持・発展についてお伝えしましたね。
ホアイ はい。民俗芸能「バイチョイ」が去年の12月にユネスコによって人類の無形文化遺産として認定されてから、バイチョイの維持・発展はさらに差し迫った課題となっていますね。
ソン そうですね。バイチョイの維持・発展を願う最も重要なことは若い世代にこの芸能を理解してもらい、好きになってもらうことですね。
ホアイ 近年、多くの地方で、子どもたちにバイチョイのことを教えるために取り組んでいます。その中の1つ、中部フーイエン省ドンホア県は目立った成果を収めています。では、今日のハノイ便りは、ドンホア県の取り組みについてお伝えしましょう。
バイチョイ遊び |
ソン はい。民俗芸能バイチョイは、先週のハノイ便りを始め、多くの番組で紹介しましたが、まだ聞いたことがないリスナーがいるかもしれないので、もう一度簡単にご紹介します。
ホアイ はい。バイチョイは、音楽や詩歌、演劇、絵画、文学などの多様な芸術的要素が融合したベトナムの民俗芸能としてよく知られており、中部のクアンビン省、クアンナム省、ビンディン省、フーイエン省などで古くから盛んに披露されてきました。
ソン バイチョイはベトナムの伝統的旧正月テトの時期などに、中部各地の農村や家庭で、身近な芸能遊びとして行われていました。民謡を歌いながら、カードを使ったゲームを行ったりするもので、踊りや音楽、物語の口頭伝承などさまざまな文化的要素が含まれているのが特徴です。
ホアイ 元々、バイというのはゲームのことで、チョイというのは畑にある小屋という意味です。「バイチョイ」というのは小屋に座っている人々が互いにゲームをするという意味です。
ソン しかし、実際に、バイチョイにはそれぞれ名前の違う駒が30個、10種類の木の札があります。1つの札に駒の名前が3つずつ書かれています。参加者は木の札を1種類選んで、親が舞台の上に吊るされた竹の札を順番に見てゆきます。
ホアイ その際、親は竹の札に書かれた駒の名前に関連する民謡を歌います。参加者はそれを聴き、自分の木の札に駒の名前があれば声をあげ、金の駒をもらい、木の札に書かれた駒の名前が3つとも出揃った人が勝ちというわけです。
ソン バイチョイで歌われる民謡は故郷への愛情、父母愛、夫婦愛、道徳性、社会弊害の批判、時代遅れの古い慣例などについてのもので、誰にでも分かり、教育性が高い遊びです。
ホアイ その理由で、バイチョイは単に娯楽としてだけではなく、ベトナム中部にある各地方の独特の民謡を披露する場でもあると言えます。老若男女だれもが民謡を歌うことができます。バイチョイがベトナムの農村コミュニティにおける伝統的娯楽でありながら、芸術を楽しむ手段でもあるという点が評価されました。
ソン こうしたバイチョイは、一時的に伝承が途絶えそうになりましたが、現在は、バイチョイブームが起きていると言えます。それは、子どもにバイチョイへの興味を芽生えさせたことによるものだとみられます。
ホアイ その中で、中部フーイエン省ドンホア県は、多くの子どもがバイチョイを習っている地方として知られていますね。
ソン そうですね。ホーチミン市から東北へ500キロ以上離れたところにあるドンホア県は、海に面して、漁村が多いです。ここの住民の生活はまだ多くの困難に直面していますが、週末にここの漁村を訪れると、村人達がバイチョイ遊びを楽しむ風景がよく見かけられます。
ホアイ そして、バイチョイの職人達が子どもにバイチョイを教える教室を頻繁に行っています。その中で、フート村に住むベテラン職人グエン・ディン・トアンさんの教室は数十人の子どもを集めています。教室で、子どもにバイチョイで歌われた民謡を教えます。
(テープ):子どもがバイチョイの民謡を歌う
ソン バイチョイの民謡を習っている子どもは7歳から15歳まで、ベテラン職人トアンさんの家から近くに住む子もいれば、ちょっと離れたところに住む子もいます。近くに住む子はもちろん、遠く住む子のほとんどは1日も休まず、バイチョイの民謡の教室に通っています。この3年、教室に通っている14歳のフィン・キエウ・マイちゃんの話です。
(テープ)
「民謡の歌詞は深い意味を持っています。より多くの歌が歌えると、さらに好きになりますよ。そして、これは、故郷の美しい伝統なので、その伝統を受け継いでゆきたいと思います。」
ソン この10年、バイチョイのベテラン職人トアンさんは、子どもにバイチョイの民謡への興味を芽生えさせることに力を入れていますね。
ホアイ そうですね。彼は、バイチョイの民謡を歌うコツを子どもたちに教えるというより、その民謡の美しさを理解してもらうことを大切にしています。トアンさんの話を聞いてみましょう。
(テープ)
「子どもたちの時間に合わせて教えています。例えば、学校が午前中の子どもに教える場合は午後にします。一回は1時間半ぐらいです。最初は少しだけ教えますが、最も重要なのはその民謡の精神です。子どもたちにその精神を理解してもらうためには、いくら大変でも頑張ります。」
ホアイ 漁村の人々は暇なとき、バイチョイを遊ぶ習慣があります。これは子どもたちにとって、教室で習った民謡を披露する場となっています。これにより、バイチョイの歌は子どもが自然に受け入れています。子どもたちの話を聞いてみましょう。
(テープ)
「バイチョイの教室に入る前は、よくポップスなんかなどを歌ってましたが、教室でバイチョイを習ってから、その美しさがわかり、好きになりました。バイチョイの歌はフーイエン省の目玉で、この歌が歌えることは誇りだと思います。」
「バイチョイの歌は大好きですよ。ずっと、歌い続けます。バイチョイを歌うと、心が癒されるという感じがします。」
ホアイ 子どもたちが好きになれば、世界無形文化遺産バイチョイは必ず保存されることは間違いないでしょうね。ではおしまいに、一曲をお送りしましょう。
(曲)
「 」をお送りしました。今日のハノイ便りは、世界無形文化遺産バイチョイへの子どもの興味を芽生えさせる取り組みについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。