(VOVWORLD) -ハノイ市の中心から西へおよそ25キロのところに、籐と竹細工で有名なフービン村はあります。
ベトナムの籐・竹細工の発祥地として、およそ300年の歴史があって、多くの優れた職人を輩出しています。フービン村は、材料となる籐と竹を栽培するのに最適と言われ、それが村人の生活と密接につながってきました。ベトナム職業村協会会長の話です。
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「ベトナムには多くの籐と竹細工村がありますが、フービン村は最も長い歴史を持つ伝統工芸村です。ここの製品は、芸術的にも高い評価を得ています。」
昔は、村にある全ての世帯が、籐と竹細工に携わっていましたが、現在は村のおよそ9割の家庭がこの伝統職業に関わっています。フービン村出身の職人は、地元だけでなく、ベトナム国内の12の省と市で活躍しています。その多くが、国家レベルの職人の称号を贈られています。中でも、グエン・バン・キエウさんは、籐でホーチミン主席の肖像画を作った最初の職人です。故人となったキエウさんですが、子供たちがその仕事を継いでいます。キエウさんの息子、グエン・バン・ティンさんの話です。
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「父は、1961年に、国から国家職人の称号をもらいました。ホーチミン主席に会ったこともあります。その時にも、主席に籐と竹製品を贈らせて頂きました。」
フービン村には、数百種類の美しい籐と竹製品があります。食器やザル、お盆、かごといった素朴なものから、籐で編んで作った絵や、椅子、花かご、箪笥、額縁など製品はさまざまです。実用品だけでなく、籐や竹製の鳥、魚、肖像画、対句作品など、作る人の高い技術が求められるものまであります。
先ほどのティンさんの話です。
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「フービン村の製品は、質も技術的にも独自性があります。細かい編み目で丁寧に作られたものばかりです。特に、数十種類とたくさんある編み方は、フービン村ならではです。」
他と違うフービン村の製品の特徴は、魚の骨のような編み方や籐の凹凸模様を使っての絵画などいろいろあります。長年の経験と創意工夫を重ねた結果、フービン村の藤と竹細工職人は、国内外のコンクールでいろいろな賞を受賞しています。
そのうちの1人の話です。
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「1980年に、ソ連で行われた社会主義国の若手コンテストで、私が籐で編んだ『ヴォルガ川』という絵が金メダルを獲得しました。2013年には当時のフランスのエロー首相にも、籐と竹で出来たハノイ旧市街の絵をプレゼントしました。現在では、フービン村の製品は、日本、韓国、中国、ロシア、イギリス、フランス、ドイツ、スペインなどに輸出されるようになっています。」
300年の間、フービン村の籐・竹製品はその伝統と価値を守り続けています。