ウクライナとEUとの連合協定締結をめぐる問題


ウクライナ政府は先月22日、EU=欧州連合加盟への第一歩となるAA=連合協定締結に関する作業を停止すると発表しました。旧ソ連諸国の経済統 合を優先課題とするロシアが自国陣営に引き込むことを狙い、圧力を強めてきた経緯があります。経済低迷に悩むウクライナのヤヌコビッチ政権は当面、対露関 係を 維持することが得策だと判断し、「東」にを切った形です。

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ウクライナのアザロフ首相 (写真:AP)

ウクライナ政府は、AA締結の作業を停止するとともに、ロシアとの経済関係を発展させると表明しました。ヤヌコビッチ政権は11月28、29日に行われるEUと旧ソ連諸国の東方パートナーシップ首脳会合で、FTA=自由貿易協定を柱とするAAへの署名を目指していました。

これを受け、EUのアシュトン外交安全保障上級代表は、「EUだけでなくウクライナ国民にとっても失望だろう」との声明を発表しました。

EUとの歴史的協定締結を求める親欧米派が、2004年の「オレンジ革命」以来最大規模のデモを行いました。キエフ中心部の欧州広場には数万人が集まり、ヤヌコビッチ大統領政権がEUとの関係を強化する連合協定への調印計画を破棄したことに抗議しました。

混乱が続くなか、ヤヌコービッチ大統領は今月14日、デモの強制排除を警官隊に指示した責任を問い、首都キエフの市長や治安当局の幹部ら合わせて3人を解任しました。強制排除は11月30日未明に行われ、数十人が一時拘束されました。

若者を何人もの治安部隊員がこん(ぼう)(なぐ)ったり、()ったりする場面がネットなどで流されたことから市民の怒りに火が付き、その後の大規模デモに発展した経緯があります。

野党勢力は強制排除の責任者に対する処罰を主な要求の一つに掲げており、政権側には2人の解任で対話ムードを醸成する狙いがあります。一方、大統領の与党、地域党は14日、野党勢力が占拠するキエフの「独立広場」と隣り合う広場で政権支持の大規模集会を開きました。

こうした中、EU外相理事会は16日、ウクライナの意向で締結を先送りした、同国と関係を強化する連合協定について、EUとして引き続き締結の用意があると同国に訴え、締結を促すことで一致しました。

ただ、ウクライナのヤヌコビッチ政権が望む経済支援に関する提案など新たな方策はなく、EUのアシュトン外交安全保障上級代表は終了後の記者会見で「FTA=自由貿易協定を柱とする連合協定締結が最善の対応策だ」とする従来の立場を繰り返しました。

ヤヌコビッチ大統領は、経済苦境への対応策としてロシアからの支援を当てにしているとみられ、EUと早期の協定締結を決断させるのは難しそうです。

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