フランス議会下院の選挙をめぐる問題

(VOVWORLD) -  フランスでは7日、マクロン大統領が電撃的に解散に踏み切った議会下院にあたる国民議会(577議席)の選挙の決選投票が行われました。
左派の連合が事前の予測を覆して極右政党を抑え、最大勢力になりました。マクロン大統領率いる与党連合と選挙協力を進めた成果が出た形ですが、両陣営は政策面での隔たりが大きく、議会の多数派の形成は難航することが予想されます。

8日午前、フランス内務省が発表した結果によりますと、左派の連合の新人民戦線が、過半数には届かなかったものの、182議席を獲得して最大勢力になりました。また、マクロン大統領率いる中道の与党連合は、選挙前に比べて議席を100近く減らして158議席、極右政党の国民連合は連携する勢力と合わせて143議席を獲得したとしています。

最悪のシナリオ 回避

1週間前に行われた1回目の投票では、国民連合と連携する勢力が得票率で首位に立ちましたが、決選投票に向けて新人民戦線と与党連合が200以上の選挙

区で候補者を一本化し、国民連合が第1党になるという事前の予測を覆した形です。

選挙の結果を受けて、新人民戦線の一角をなす急進左派の政党のメランション氏は「これはフランス国民の勝利である。2回目の投票に参加した有権者の割合は67.5%に達し、1997年以降で、最高を記録した」と明らかにし、次のように語りました。

(テープ)

「フランスが夏休みに入ったものの、投票に参加した有権者の割合が高かったことは印象深かったです。フランス人はフランスにとって悪い解決策を明らかに拒否しました。極右は過半数にほど遠いです。」

こう着状態 長期化

また、メランション氏はマクロン大統領に対し「『新人民戦線』に組閣を要請する義務がある」と迫りました。ただ、メランション氏の政党とマクロン大統領の与党は政策面で大きく隔たり、互いに連立を組むことを拒否しています。議会の多数派の形成は難航することが予想され、今後の政治の先行きには不透明感が強まっています。

極右政党の国民連合のバルデラ党首は、支持者の前で演説し「マクロン大統領とアタル首相は極端な左派と恥ずべき危険な選挙協力を行った。国を不確実で不安定な方向に向かわせただけでなく、今後、何か月にもわたって日々の厳しい暮らしに国民が対応する手段を奪った」と述べて、与党連合と左派の連合の選挙協力を批判しました。一方、国民連合を率いるマリーヌ・ルペン氏は次のように語りました。

(テープ) 

「下院は左派、中道、極右という主張の異なる3つの大きなグループに分かれる見込みです。これは、残念なことです。不法移民や購買力の低下、治安の悪化に対応するため、さらに1年間がかかる恐れがあります」

フランスの議会下院の選挙で左派の連合が最大勢力になる見通しだと伝えられるなか、フランスの大統領府は7日、「大統領は現在、選挙区ごとに結果を把握しているところだ。共和国の伝統に従い、新しい議会の構成を待って、必要な決断を下す。大統領は体制の保証人としてフランス国民の選択が尊重されることを保証する」というメッセージを出しました。一方、与党連合のアタル首相は7日、辞表を8日朝にマクロン氏に提出すると明らかにした。連立交渉が本格化するが、難航するとみられます。

どの勢力も過半数の289議席に届かず法案を可決できない「統治不能」状態に陥る恐れが高く、今月下旬開幕のパリ五輪を前に政治が混乱しそうです。経済や外交、EUとの関係にも影響が出る可能性があると予測されています。

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