ベトナムにおける言論の自由権を正しく理解する必要がある

ベトナムにおける言論の自由権を正しく理解する必要がある - ảnh 1
ベトナムでのインターネットの普及

この数日間、インターネット上で、「ベトナムのブロガーネット」と名乗る一部の人たちが、いわゆる「258号宣言」を公布し、ベトナムにおける言論の自由が制限されている、と訴えると同時に、欧米風の言論の自由をベトナムに導入するよう求めました。しかし、誰もが如何なる国でも言論の自由には限度があるということが分かるでしょう。

これまでに、国際社会は、言論の自由権を含む基本的人権に関する共通基準に合意してきました。1953年9月3日に発効した欧州人権条約の第10条は「全ての人々には表現の自由権がある。この権利は国境を問わず、行政機関の許可を受けずに、意見を自由に述べることと情報を自由に交換することを含まれている。ただし、この条文は条約締結国を対象に、ラジオテレビ放送、映画を営む企業に対して、検閲措置を適用することを禁止する意味ではない。それらの権利の行使、中でも、義務、責任、形式、条件、制約、処罰なども含まれ、法的文書に明記される。中でも、民主的社会における必要性や、国家安全保障上の利益、領土保全、公共秩序の維持、犯罪防止、他人の名誉と道徳、健康の保護、機密情報の暴露防止対策、司法機関の権力の保護などについて考える必要がある。」と明記しています。

そこでは、欧州人権条約は言論の自由に関する共通原則を規定しています。これに基づき、誰もが性別、国境、地位を問わずに、自らの見解を述べる権利があります。しかし、この条約は、それらの権利の行使とそれぞれの国の法律に従って、具体化された制約を規定しています。というのは、それぞれの国は、自国の現状を考え、国民の言論自由権の行使を具体化するための法律を出したのです。

ベトナム刑事法の第258条は「自由権、民主権を利用して、国家の利益、組織、個人の合法的権利と利益を侵害する罪」を規定しています。

以前から、ベトナムの立法者らは、この条文の正当性を強調する根拠を持ってきました。つまり、この条文は「自由権、民主権を利用して、国家の利益、組織、個人の合法的権利と利益に侵害した場合」の法律違反行為を確定することです。もし、利用行為ではなく、たんなる言論の自由、報道の自由、信仰の自由、宗教の自由、会議の自由などの他の民主的自由権については、ベトナムの憲法と法律により保障されています。

そこで、ベトナム刑事法律法の第258条の規定は、欧州人権条約に全く合致している事がわかりました。

さらに、第258条は1966年の国際人権規約にも合致しています。これに基づき、言論の自由を無限なものとして見なすことはできません。言論の自由は他人の権利を尊重し、国家安全保障や公共秩序などを確保しなければなりません。

さて、インターネット上で、「ベトナムのブロガーネット」と名乗った一部の人たちは、欧米風の言論の自由をベトナムに導入するよう求めたわけですが、これらの人々は無限の自由などは、存在しないという事を忘れたのかもしれません。言論の自由に関する国際条約の作成に参加した欧州諸国にも無限の自由というものは、ないのです。

フランスの言論の自由に関す法律は、言論の自由権を利用して他人の権利、合法的利益に侵害した罪を厳格に処罰する措置を出しています。また、フランスの法律は、国家安全保障に関する資料や裁判中の事件に関する資料などの出版を禁止しています。

実際、ベトナムだけではなく、フランス、アメリカ、ドイツ、韓国、シンガポールなどの国々の法律は言論の自由、報道の自由を利用した行為を厳格に処罰する条項を盛り込んでいます。

いかなる国でも言論の自由は法律の枠内に制限されます。このことは国際人権規約で規定されています。

ご感想

他の情報