トランプ大統領、クックFRB理事を異例の解任 住宅ローン不正疑惑で

(VOVWORLD) - アメリカのトランプ大統領は25日、住宅ローン契約を巡る不正疑惑を理由に、アメリカ連邦準備理事会(FRB)のクック理事を解任しました。独立性の高い金融政策機関であるFRBの理事を大統領が解任するのは異例です。
トランプ大統領、クックFRB理事を異例の解任 住宅ローン不正疑惑で - ảnh 1アメリカ連邦準備理事会(FRB)のクック理事(写真:REUTERS/Shannon Stapleton)

トランプ大統領は、自身の交流サイト「トゥルース・ソーシャル」にクック氏宛ての書簡を投稿し、同氏が2021年にミシガン州とジョージア州の不動産についてそれぞれ住宅ローンを申請した際、いずれも主たる住居として申告したことを問題視しました。その上で「解任に足る十分な理由があると判断した」とし、合衆国憲法第2条および1913年連邦準備法に基づき解任権限を有すると説明しました。

トランプ大統領は20日、アメリカ連邦住宅金融局(FHFA)のパルト局長が不正疑惑を指摘したことを受け、クック氏に辞任を求めていました。司法省も調査中でしたが、クック氏はこれまで詳細な説明をしておらず、本人やFRBのコメントも得られていません。

FRB理事の任期は大統領任期より長く設定されており、連邦準備法は「正当な理由」での解任を認めています。ただ、特に1970年代以降、大統領はFRBの独立性を尊重し、解任権を行使することは事実上ありませんでした。今回の決定はその慣例を破るものとなります。

トランプ大統領は書簡で、クック氏が「欺瞞的で犯罪の可能性がある行為を行った」と非難し、「誠実性を信頼できない」と述べました。その上で「少なくとも金融取引における重大な過失を示しており、金融規制当局者としての能力と信頼性に疑問を投げかける」と断じました。

この発表を受け、市場では米国債利回りに変化が生じ、短期的な金融政策に敏感な2年債利回りは低下し、インフレ懸念が反映される10年債利回りは上昇しました。

クック氏は黒人女性として初のFRB理事で、2022年にバイデン前大統領により指名されました。ペンシルベニア大学のピーター・コンティブラウン氏は「住宅ローン取引は理事就任前のもので、上院での承認過程で記録済みだった。過去にさかのぼって解任理由とするのは適切ではない」と指摘しています。(ロイター)

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