プーチン大統領、異例の訪米へ 旧ロシア領アラスカ訪問
(VOVWORLD) - 報道によりますと、会談場所としては同州アンカレジの空軍基地やホテルなどが想定されています。また、現地では米ロ両首脳に対する抗議デモが計画されているという情報もあります。
ロシアのプーチン大統領は15日、アメリカ・アラスカ州を訪れ、アメリカのトランプ大統領との会談に臨みます。2022年2月に始まったウクライナでの軍事行動以降、アメリカ大統領と対面で会談するのは初めてで、最近は外遊先を「友好国」に限定している中での異例の訪問となります。アラスカはかつてロシア領だった経緯があり、米ロのエネルギー協力を巡る象徴的な場所とされています。
報道によりますと、会談場所としては同州アンカレジの空軍基地やホテルなどが想定されています。また、現地では米ロ両首脳に対する抗議デモが計画されているという情報もあります。
プーチン大統領は、国際刑事裁判所(ICC)から「戦争犯罪」で逮捕状を出されています。アメリカはICCに加盟していませんが、軍事行動開始直後にバイデン前政権がプーチン大統領を制裁対象に指定し、「戦争犯罪人」と糾弾しました。逮捕状についても「正当」と評価しています。
一方、トランプ政権はプーチン大統領に対して寛容で、ICCに厳しい立場を取っています。イスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことなどを理由に、ICC裁判官4人への制裁も発動しました。プーチン大統領にとっては安心材料といえます。
プーチン大統領はウクライナでの軍事行動開始後、北大西洋条約機構(NATO)加盟国など西側諸国を訪れていません。大統領としての訪米は、国連総会での一般討論演説を目的とした2015年を除けば、2007年以来となります。
開催地がアラスカ州であることも、訪米受け入れの背景にあるとみられます。ロシアのウシャコフ大統領補佐官(外交担当)は、「米ロは(ベーリング海上で)国境を接する隣国であり、首脳会談をアラスカ州で開催することは極めて理にかなっている」と説明しました。プーチン政権は、今年2月に始まった米ロ高官協議で北極圏のエネルギー協力を提案しています。
また、ウクライナ情勢と絡めた思惑も透けて見えます。アラスカは19世紀、ロシアがアメリカに売却し、平和裏に割譲が行われました。今回、プーチン大統領は逆にロシアへの領土割譲を求める見通しで、英国ロンドン大キングス・カレッジのサム・グリーン教授(ロシア政治)は、今回の首脳会談について「まるで国境が変えられることを示すために計画されたかのようだ」とSNSで指摘しています。(時事通信)