ブタ肝臓を脳死患者に移植 中国の医師団、機能確認と発表

(VOVWORLD) - 患者の氏名や性別などの詳細は明らかにされておらず、患者本人の肝臓は体内に残されたままでした。移植手術は家族の要請により、10日間で終了しました。

中国の大学の医師団は26日、遺伝子組み換えが施されたブタの肝臓を脳死状態の人間に移植する手術を行い、移植された臓器が機能したことを確認したと発表しました。人間の体内においてブタの肝臓が移植されたのは、世界で初めてとみられます。

この手術を行ったのは、中国・西安にある空軍軍医大学(第四軍医大学)の医師団で、英科学誌「ネイチャー」に論文が掲載されました。移植手術は昨年3月10日、同大学の付属病院で実施され、6つの遺伝子を改変したミニブタの肝臓が、脳死状態にあった成人患者に補助臓器として移植されました。

患者の氏名や性別などの詳細は明らかにされておらず、患者本人の肝臓は体内に残されたままでした。移植手術は家族の要請により、10日間で終了しました。

医師団は、移植後の10日間にわたりブタの肝臓の血流や胆汁の生成、免疫反応などの主要な機能を観察しました。その結果、肝臓は正常に機能し、胆汁の分泌がスムーズに行われたほか、主要なタンパク質であるアルブミンも生成されたということです。

論文の共著者である王琳教授は記者会見で「移植されたブタの肝臓は非常に良好に機能した」と述べました。

ブタは人間の臓器提供の代替として期待されていますが、肝臓は多機能であることから心臓や腎臓に比べて移植が難しいとされてきました。今回の成果について他の研究者からも前向きな評価がある一方で、現在はまだ初期段階にあり、ブタの肝臓が完全に人間の肝臓の代替となり得るかどうかについては、今後のさらなる研究が必要とされています。(AFP通信)

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