WTO、2025年の世界貿易量見通しを大幅下方修正 米関税の影響で0.2%減に

(VOVWORLD) - WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は、「世界の商品貿易の伸びが鈍化するのは大きな懸念だ」と述べました。

世界貿易機関(WTO)は16日、2025年の世界のモノの貿易量の見通しについて、昨年10月時点の3.0%増から0.2%減へと大幅に下方修正しました。アメリカのトランプ政権が打ち出した関税政策とその波及効果により、新型コロナウイルス感染拡大の最盛期以来、最悪の落ち込みとなる可能性があるとしています。

WTOのオコンジョイウェアラ事務局長は、「世界の商品貿易の伸びが鈍化するのは大きな懸念だ」と述べました。

トランプ大統領は、鉄鋼や自動車の輸入に追加関税を課すとともに、広範囲な「相互関税」を導入したあとに一時的な停止措置を発表するなど、政策方針を繰り返し変更しています。中国との貿易摩擦も激化し、互いの輸入品に対する関税率が100%を超える状況となっています。

WTOは、トランプ大統領が予定するすべての関税を導入した場合、世界の物品貿易の伸びは0.6ポイント押し下げられると予想しています。さらに、アメリカ以外の国々への波及効果によって、追加で0.8ポイントの下押し要因になるとも見られています。これらを合わせると、最大で1.5%の減少となり、2020年以来で最大の下落となる可能性があるとしています。

オコンジョイウェアラ事務局長はまた、「中国とアメリカの経済が分断されることが、最大のリスクだ」とも述べました。WTOによりますと、両国間の物品貿易は81%減少すると推定されており、スマートフォンなど一部の製品に対する免除がなければ、その減少幅は91%に達する可能性があるということです。

さらにオコンジョイウェアラ氏は、「もし経済の分断が地政学的な境界線に沿って世界経済を二つの孤立したブロックに分けることになれば、その影響は非常に広範囲に及ぶだろう」と述べました。

このようなシナリオが現実となった場合、世界の国内総生産(GDP)は長期的に7%縮小する恐れがあるとしています。(ロイター)

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