2025年のテーマは「デジタル経済の加速のためデジタルトランスフォーメーションを包括的に推進する」とし、国民を中心に据え、企業を原動力とし、データを基盤とするというベトナムの近代化を進める新たな精神が込められています。
政策基盤が生み出す確かな成果
国家レベルでのデジタルトランスフォーメーションを推進する上で、何よりも重要なのは強固な法的枠組みです。近年、ベトナムで一連の重要な文書や政策が打ち出され、その決意と長期的な戦略ビジョンを明確に示しています。なかでも注目されるのが、科学技術、イノベーション、そしてデジタルトランスフォーメーションの突破的発展を目指す政治局による「第57号決議」です。この決議は、科学技術・イノベーション・デジタル化という三本柱の不可分の関係を示す“戦略的レバレッジ”として位置づけられています。これを土台に、政府や各省庁、地方行政府は具体的な行動計画を策定し、共通のビジョンと明確なロードマップを作成し、投資資源を重点的に配分しています。
こうした政策のもと、ベトナムのデジタルトランスフォーメーションは目覚ましい成果を上げています。9月のデジタル産業分野の売上は前年同期と比べておよそ48％増となりました。また、ハードウェア・電子機器の輸出額も9か月で30％の伸びを示しました。デジタル企業のエコシステムも急拡大し、国際金融機関の統計によれば、ベトナムのデジタル経済成長率は東南アジアで最も速いとされています。
HSBC香港上海銀行ベトナムのティム・エヴァン最高経営責任者は次のように語りました。
（テープ）
「ベトナムのデジタル経済の未来は非常に大きな可能性を秘めており、国内外のデジタル産業にとって魅力的な市場になります。ベトナムは地域でユニコーン企業の数が2番目に多く、若くてテクノロジーに親しむ人口層が電子商取引の発展を支えています」

クアンチ省トゥオンチャック村の公共行政センターの職員たち (写真：TTXVN）

また、政府のデジタル化も大きな変化を遂げています。行政手続きの効率化や国民へ利益をもたらしています。2025年9月現在、オンライン完結型の行政手続きの割合は全体の約40％に達し、前年同期と比べて2.64%増となりました。9月だけで160万件以上の電子文書が「国家文書連携プラットフォーム」を通じて送受信されています。テクノロジーが生活の隅々にまで浸透するなか、国民こそが中心であり、その成果を享受しています。

未来のデジタル国家へ 向けた努力
これまでの成果を踏まえ、ベトナムは2030年までに「世界でデジタル化先進30ケ国入り」を目指しています。2025年の「国家デジタルトランスフォーメーションの日」は、成果を振り返るだけでなく、今後のさらなら発展を呼びかける機会となっています。この挑戦には、社会全体の共同行動が欠かせません。最近開催された「国家データセンター」の開所式で、ファム・ミン・チン首相は次のように強調しました。
（テープ）
「国民に実際の利益をもたらすため、国家デジタルトランスフォーメーションの指導・運営・実施で断固たる姿勢で臨むべきです。国家デジタルトランスフォーメーションは戦略的かつ大規模な事業ですが、具体的な行動から始め、目標を明確に、一つひとつ確実に成し遂げるほか、政治システム全体の総合力を発揮しなければなりません」
もし1986年の「ドイモイ（刷新）」がベトナムを貧困から救った第一次のドイモイなら、今回の第二次ドイモイは、中所得国の罠を脱出し、先進国への道を開くものとなるでしょう。