ウクライナ和平協議、アメリカと欧州が進展報告も領土問題で隔たり残る
(VOVWORLD) - ロシア大統領府のペスコフ報道官は15日、ウクライナがNATO加盟を断念することは和平に向けた基本的な問題だと指摘し、ベルリンでの協議を受け、アメリカからの最新の情報提供を期待していると述べました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、ベルリンでアメリカのトランプ大統領の特使団との会談を再開しました。欧州の首脳らも加わり、和平に向けて終日にわたり協議が行われました。アメリカはウクライナに対し、北大西洋条約機構(NATO)型の安全の保証を提供する案を示しており、アメリカと欧州の交渉担当者は協議の進展を報告しましたが、領土に関する譲歩については、依然として合意に至っていないということです。
トランプ大統領は、武力衝突の終結に向けた合意の実現に取り組んでいるとしたうえで、「ロシアのプーチン大統領と何度も会話を重ねてきた。そして今、これまでになく合意に近づいていると思う。何ができるか見ていこう」と述べました。ベルリンで行われた主要当局者の夕食会に電話で参加した後、ホワイトハウスで語りました。
事情に詳しい当局者によりますと、アメリカはウクライナに対し、東部ドネツク州から軍を撤退させるよう圧力もかけているとされ、これはウクライナにとって大きな譲歩となり、国内で強い反発を招く可能性があるということです。
ゼレンスキー大統領は記者団に対し、領土譲歩の問題について「痛みを伴う」と述べ、「率直に言って、われわれの立場は依然として異なる」としながらも、アメリカの仲介者が妥協点を見いだす助けになると信じていると語りました。
また、ウクライナ側の交渉担当者が引き続きアメリカ側と協議を続けるとしたうえで、軍事行動の最前線に関する決定を下す前に、停戦の監視を含む安全の保証について具体的に理解する必要があるとの認識を示しました。
アメリカの当局者は記者団に対し、協議項目の90%について合意に達したと明らかにしました。懸案となっている領土問題は残るものの、「溝を埋めるための複数の解決策を提案している」と述べました。
当局者によりますと、ベルリンで協議されている合意案に基づき、ウクライナはNATO条約第5条に定められている内容と同様の安全の保証を受ける可能性があるということです。この条項は、加盟国が攻撃を受けた場合に相互に防衛する義務を定めています。
ゼレンスキー大統領は前日も、アメリカ政権のウィットコフ特使とトランプ大統領の娘婿であるクシュナー氏と5時間にわたって会談し、欧米による安全の保証が得られれば、NATO加盟を断念する用意があるとの考えを示しました。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は15日、ウクライナがNATO加盟を断念することは和平に向けた基本的な問題だと指摘し、ベルリンでの協議を受け、アメリカからの最新の情報提供を期待していると述べました。
一方、欧州連合(EU)の外相らは15日、ブリュッセルで会合を開き、欧米の制裁を回避しながら原油の海上輸送を行っているロシアの「影の船団」を対象とした新たな制裁措置について合意しました。(ロイター)