夜のハノイは、日中とは異なる、ゆったりと落ち着きながらも活気にあふれた独自の文化体験の空間へと姿を変えます。首都ハノイは、アイデンティティの保持や遺産の保全、住民の生活の質の向上を図りつつ、経済発展と両立させる「夜間文化体験都市」を目指しています。
夜のハノイを巡る旅のハイライトは、趣向を凝らした遺産体験ツアーです。タンロン遺跡、文廟・国子監、ホアロー収容所といった遺跡空間が、音響と照明、そして現代的なプロジェクション技術の調和によって呼び覚まされ、歴史と文化にまつわる生々しい物語を紡ぎ出しています。
文廟・国子監文化科学活動センターが実施する「学問の真髄」をテーマとした夜間ツアーは、日中の遺跡見学とは一味違う新たな体験を提供しています。遺跡空間全体が照明システムと3Dプロジェクションマッピング技術によって「変身」し、幻想的で美しい表情を見せ、来場者に深い感銘を与えています。奎文閣、科挙合格者の石碑の庭園、天光井、拝堂エリアといった特徴的な建築群が、学問の価値や意義を伝えるために効果的に活用されています。文廟・国子監の夜間体験プログラム「学問の真髄」の広報を担当するグエン・タイン・トゥンさんは、次のように話しています。
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「文廟・国子監のナイトツアーは、来場者の皆様に文化遺産へのより斬新で深いアプローチを提供したいという思いから企画されました。日中の文廟が古風で荘厳な佇まいを見せるのに対し、夜になると遺産空間はより幻想的で感情豊かなものへと変化します。来場者は、かつての国子監の儒学生たちが歩んだ道をたどることができます。ガイドさんによる解説と、光、音、空間のインスタレーションが一体となり、語り紡がれるストーリーを通じて、ベトナム人の学問を重んじる精神や科挙の伝統、そして民族の文化的な価値を実感していただけます」
ホアロー収容所跡の「神聖な夜」ツアーでは、来場者は歴史の一端に対する理解を深めることができます。夜の遺跡空間では、音響と照明に加え、収容された革命戦士たちの獄中生活に関する真実の物語が演劇の手法で再現され、五感を刺激して深い感動と強い印象を与えています。見学コースには、手枷や足枷に触れる体験や、演劇を通じた尋問・拷問の場面の鑑賞、囚人になりきって暗く狭い監房を体感する体験、さらには脱獄のための地下排水路くぐりなどが組み込まれています。ハノイ在住のファム・ティ・ランさんは次のように語っています。
(テープ)
「私は歴史がとても好きです。ホアロー収容所跡のプログラムを体験して、国の歴史の一端をより深く知ることができました。このプログラムが若者たちにもっと広く知られることを願っています」
一方、夜間ツアー「タンロン遺跡の解読」も、来場者に強い印象を残しています。古の皇城空間を体感し、貴重な考古学遺構の上で宮廷舞踊を鑑賞できるほか、「タンロン・ハノイ:地中からの千年の歴史」をテーマとした展示室では、タンロン遺跡で発掘された貴重な出土品や古美術品を鑑賞できます。体験の締めくくりには、皇城の謎を解き明かすクイズゲームが用意されています。ここでは、タンロン遺跡の代表的な出土品がレーザーによって考古学遺構の基壇や古の川の跡に投影され、来場者がそれらを観察して謎解きに挑戦します。
(テープ)「フランスから来ました。ここではすべてのことが私の国とは全く違っています。誰もがこのツアーを楽しんでいます」
(テープ) 「このツアーはとても魅力的に感じます。私はベトナムの歴史がとても好きで、いろいろ調べたり勉強したりしてきました。タンロン遺跡の夜間ツアーでの体験は素晴らしいものでした」
遺跡に加えて、首都ハノイ市内の博物館群も、来場者の体験価値を高めるために数々の夜間観光商品を展開しています。そのうち、ベトナム文学博物館は「心と才」をテーマとした文学ツアーを開始し、ベトナム女性博物館は特別アート体験プログラム「青春の伝説」を実施、国立歴史博物館は「タンロン・ハノイの夜」をテーマにしたサイクリングツアーを開催しています。遺産とテクノロジーの融合により、夜の観光商品は五感を刺激する体験を生み出し、日中の活動よりも深い好奇心と感動を呼び起こしています。光と音、そして視覚効果が歴史の物語をドラマチックに演出し、来場者の関心を惹きつけています。
遺産と結びついた夜間観光活動の開発は、遺跡の価値を高めると同時に、伝統的な文化価値を保全・発揮し、古風でありながら現代的で、夜になれば躍動感にあふれるハノイを、来場者が発見する一助となっています。
