ベトナムでデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中、医療分野、とりわけ軍医システムもその潮流の中にあります。軍医病院は、国民の健康ケア、および国防への備えという二つの任務を果たしています。ここでのDXは、診療の質を向上させるだけでなく、新たな時代の課題に適応するための戦略的なステップとなっています。
ハノイ市内にある第354軍病院の受付ロビーでは、かつて見慣れた大量の紙の書類に代わり、電子モニターが診察順を表示しています。待機する患者の手には紙の健康手帳ではなく、個人識別番号(ID)が付与された身分証明書があるだけです。
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「以前は番号札を取り、列に並んで待つという二段階の手続きが必要でしたが、今は自分で直接診察室の登録ができます」
「検査結果が出るのが非常に早くなりました。午前中に検査をすれば昼前には終わり、午後なら1、2時間で薬を受け取ることができます」
同病院の診察科長を務めるゴー・ティ・ダオ中佐は、次のように明らかにしました。
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「患者は受付票のコードを持つだけで済みます。検査や画像診断の際、そのコードをスキャンすれば、すべてのデータがシステム上で共有されます。書類を持ち歩く必要はなく、検査結果もシステムに自動送信されるため、その場で待つ時間も短縮されました」
一方、情報技術部門の責任者であるチャン・アン・ズン少佐は、次のように述べています。
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「身分証明書のスキャンと顔認証により、国家データセンターを通じて情報が照合されます。これにより、患者の状態に合わせた診察室の自動割り当てが可能になります」
他方、第175軍医病院では、遠隔診断が日常的に行われています。離島にいる患者であっても、モニターを通じて専門医の診察を受けることが可能です。かつて軍事医療の大きな壁であった地理的な距離は克服され、重症患者の救命率向上に寄与しています。同病院画像診断センターのチュオン・チュン・ヒエウ医師は、次のように明らかにしました。
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「人工知能の融合により、患者のセットアップにかかる時間を30〜40%削減できました。以前は医師の経験やレーザーポインターを頼りに患部の位置合わせを手動で行っていましたが、現在はより迅速かつ正確に準備を進めることができます」
病院の管理運営は、いわば「デジタルの脳」によって制御されています。患者の受け入れから投薬、医療資材の管理までがリアルタイムで追跡されます。医師は紙のカルテを探す手間から解放され、数回のクリックで必要な情報にアクセスできるようになりました。
こうしたDXの取り組みは、ベトナム軍医の新たな姿を形作っています。軍内部へのサービスにとどまらず、感染症の流行時などには民間の医療システムの負担を軽減する役割も果たしています。また、自然災害や軍事演習といった緊急事態に備え、移動式の軍医ユニットにも最新のデジタル機器が配備されています。第354軍病院の院長、ハ・ズイ・ズオン大佐は次のように強調します。
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「DXは管理面だけでなく、診療・治療の質の向上や患者・医療スタッフの利便性において多大な利益をもたらしました。データのデジタル化により、情報の抽出や共有が迅速化され、医療ミスも減少します。さらに、蓄積されたビッグデータは、将来的な健康管理の最適化に極めて重要です」
デジタル時代の変革において、献身、正確さ、そしていかなる状況下でも即応する精神という「軍医のあるべき姿」はその本質的な価値を失っていません。現在、デジタル技術は軍事医療の新たな章を切り開きつつあり、スピード、データ、そしてネットワークが生命を左右する重要な要素となっています。
ベトナム軍病院におけるデジタルトランスフォーメーションは、医療サービスの質の向上、管理体制の最適化、そしてベトナム人民軍の戦闘準備能力の強化に向けた喫緊の課題となっています。
