知的な障害、物の形をはっきりと見ることができない目、言葉をうまくつなげられないことなど、それは、戦争が残した癒えることのない数々の傷です。
しかし、ベトナム中部・ダナン市にある「枯葉剤被害者・恵まれない子ども支援センター第1施設」の門をくぐると、そうした痛みは、先生たちの根気強い支えと、女性教師たちの温かく寛容な心によって、少しずつ和らいでいます。不幸や苦しみは次第に、家族のような温かな愛情に包まれていきます。
現場の音
「先生、おはようございます」】
「先生、おはようございます」
「上手に言えましたね。先生もおはよう。さあ、今から自分の荷物を自分のロッカーにしまってきてね」
「はい」
「先生、おはよう」
「おはよう。今日は一日、楽しく過ごせそう?」
「楽しい」
「ああ、楽しいね。おはよう。じゃあ、今から中に入って、自分の荷物をロッカーにしまってきてね」
枯葉剤やダイオキシンの被害を受けた子どもたちにとって、「先生、おはようございます」という言葉を発することさえ、たやすいことではありません。
たどたどしく、まだうまく発音できない言葉。それでも、その澄んだ声は、ダナン市にある「枯葉剤被害者・恵まれない子ども支援センター第1施設」の一日の始まりを告げる、温かな調べとなっています。
毎朝、子どもたちを迎えるたびに、先生たちは一人ひとりの目の動きや表情を細かく観察します。繊細で傷つきやすい心を持つ子どもたちにとって、ほんの小さな環境の変化でさえ、大きな影響を及ぼすことがあります。
教師のファン・ティ・タインさんは、次のように話します。
(テープ)
「この子たちは、うれしいか、悲しいか、そのどちらかです。ですから、毎朝、一人ひとりが何を考えているのか、しっかりと把握する必要があります。悩みや不満があると、子どもたちは先生に話してくれます。私自身が子どもたちの立場になって考え、気持ちを理解するようにしています」
現場の音
授業の始まりを告げる鐘の音が静かな空間に響き渡り、穏やかな一日が始まります。ダナン市にある、枯葉剤やダイオキシンの被害者を支援する3つの施設の一つであるこのセンターでは、現在43人の子どもたちが通所と宿泊を組み合わせた形で支援を受けています。
その多くが知的障害やダウン症を抱えており、運動機能に障害のある子どももいます。ここでは、リハビリテーションだけでなく、文字を書く練習をしたり、一つひとつ布の花を作ったり、お香を転がして形を整えたり、針と糸を使って縫い物をしたりと、さまざまな技能を身につけています。
現場の音
文字を教え、職業訓練を行うこのセンターでの取り組みは、先生たちにとって、数多くの困難に立ち向かう日々でもあります。
枯葉剤やダイオキシンの深刻な影響により、多くの子どもたちは物事を理解することに困難を抱えています。集中することが難しく、覚えるまでに時間がかかる一方で、覚えたこともすぐに忘れてしまいます。簡単な作業一つを教えるにも、長い時間をかけて、丁寧に指導しなければなりません。
そして翌日になると、すべてが初めてのことのようになり、先生たちはまた最初から根気強く教え直します。そうした目立たない努力の積み重ねの中で、どんなに小さな成果であっても、子どもたちと先生たちにとって、大きな誇りとなります。
33歳のホー・ティ・チエウさんは、このセンターで数少ない、言葉によるコミュニケーションができる枯葉剤・ダイオキシン被害者の一人です。チエウさんは、自分で縫い上げたばかりのズボンを誇らしげに見せてくれました。
(テープ)
「学校に来るのが好きです。ズボンを縫うのが好きです。2か月かけて、短パンを縫いました。友達に着てもらうためです。先生が、ズエンちゃんや私に、縫い方を教えてくれました」
現場の音
縫製工房からほど近い場所には、薬草の香りが漂うお香作りの教室があります。
香料の粉をどのようにして整えるのか、一つひとつ教えているのも、枯葉剤やダイオキシンの被害を受けた一人、グエン・ゴック・フオンさんです。
(テープ)
「私は、自分が身につけてきた自信を、子どもたちにも伝えたいと思っています。こうして仕事を学び、実際に商品を作って、それをお客さんが買ってくれると、子どもたちはとても喜びます。だからこそ、私はいつも子どもたちに、自信を持つよう励ましています。
子どもたちが自らの手で作った布の花や、薬草の香りがするお香は枯葉剤やダイオキシンの被害者を支援する活動の資金を集めるため、販売されています。さらに誇らしいことに、この教室で学んだ子どもたちの中には、成長して自信を身につけ、地元に戻って社会の中で生活できるようになった人もいます。
センター副所長のヴォー・ティ・トゥさんは、次のように話します。
(テープ)
「多くの子どもたちは、自分の行動を十分に理解することができません。
私たちは、まず子どもたちが健康に過ごし、自分の身の回りのことを自分でできるよう、さまざまな生活技能を身につけてほしいと考えています。
そして、何らかの仕事を身につけてもらい、私たちが地域とつなぐことで、社会の中で生活できるようになってほしいと思っています。」
現場の音
枯葉剤やダイオキシンの被害を受けた子どもたちの授業が、一度も全員そろうことはありません。痛みが長引いたり、体が弱いため、学校を休まざるを得ない子どもも多くいます。それでも、先生たちは子どもたちのほんの小さな進歩も見逃さず、丁寧に観察し、記録しています。
先生たちの愛情と献身は、まるで清らかな水のように、子どもたちの痛みを少しずつ癒やしています。そして、その思いに応えるように、子どもたちは毎日、あどけなく、輝く笑顔を見せてくれます。その笑顔は、身体的な痛みを少しずつ和らげるとともに、より良い未来への希望を照らしています。
