(カップサック儀礼の音楽)
赤ザオ族にとって、カップサック儀礼は単なる成人の通過儀礼ではありません。共同体と霊的世界において正式に認められるための、いわば「通行証」でもあります。この重要な儀式において、錦織刺繍衣装はまさに魂であり、欠かすことのできない文化的象徴です。
カップサック衣装は通常、長衣、ズボン、頭巾、帯、装飾用刺繍布から構成されます。主な色は赤で、黒・白・黄色と組み合わされ、それぞれ火・大地・天・人間を象徴しています。藍染めの布地には、四角形・十字形・鋸歯(のこぎりば)形・松の木・星などの模様が一針一針丁寧に手刺繍され、立体感豊かに仕上げられます。
これらの模様はそれぞれ霊的な意味を持っています。四角形は人が生まれ育つ大地を、鋸歯形の線はザオ族の生活の場である山と森を象徴しています。衣装の縦に走る帯模様は、現世と祖先の世界をつなぐ道を表しています。刺繍には、子孫の健康や生業の繁栄、道徳的な生き方への願いも込められています。トゥエンクアン省ティエンニュエン村に暮らす赤ザオ族の女性、チェウ・ムイ・モイさんに話を聞きました。
(録音)
「慣習では、喪中の家族がいる場合や月経中の女性は刺繍に参加できません。男性の衣装は三重、女性は二重の上着で構成され、外側には特徴的な模様が刺繍されています。頭巾や脚絆にも丁寧な刺繍が施されています。」

他の多くの民族と異なり、赤ザオ族のカップサック衣装は既製品ではなく、市場で購入することもできません。一針一針すべて家族の女性たちの手で刺繍され、儀式の数か月前、時には一年前から準備が進められます。特に正月前の時期には、炉端での刺繍作業がひときわ賑やかになります。
刺繍を任される人物は、一族の中で信望が厚く、自らもカップサック儀礼を経験した者でなければなりません。単なる衣装にとどまらず、一枚の錦織衣装はそれ自体がひとつの物語です。赤ザオ族の女性たちの起源、信仰、巧みな手業と忍耐強さを語り伝えるものなのです。チェウ・ムイ・モイさんはさらに続けます。
(録音)
「儀礼を終えた者は、祖先に成人を認められた証として、7日間連続してカップサック衣装を着用し続けなければなりません。その後も祭りや行事の際に着ることができます。」
(赤ザオ族の祭りの音楽)
現代の生活の中で、儀式用錦織刺繍の伝統は少なからぬ課題に直面しています。工業用生地や既製衣装が普及し、若い世代は炉端に座って一針一針刺繍する時間や忍耐を持てないでいます。

しかし、チエムホア、ハムイエン、クアンビン、トゥエンクアンなど多くの地域では、年配の職人たちと地域ぐるみの文化保存意識によって、伝統的な刺繍技術が守り続けられています。多くの集落では刺繍グループや女性クラブが結成され、若い世代への無償指導が行われています。トゥエンクアン省ティエンニュエン村で長年にわたり伝統的な錦織刺繍に携わってきた職人、チェウ・ムイ・サイさんは次のように語ります。
(録音)
「カップサック衣装の刺繍はザオ族の文化の魂です。私たちは若い世代に積極的に技術を学ぶよう呼びかけています。また、刺繍を地域観光と結びつけ、住民の収入向上につながるよう支援をお願いいたします。」
近年、赤ザオ族の錦織刺繍をコミュニティ観光と結びつける取り組みが、新たな可能性を切り開いています。カップサック儀礼向けの手刺繍製品は文化祭や民族大団結の祭典、新春行事などで広く紹介され、トゥエンクアン省の赤ザオ族の誇りとして輝き続けています。