(製造の音)
タインソンの丘陵地帯では、今も先人から受け継いだ製法が守られています。自然に育てられた在来種の豚肉を薄切りにして香辛料で下味をつけ、香ばしく炒った玉蜀黍の粉と混ぜ合わせます。そして防腐剤や添加物を一切使わず、竹筒または密閉容器に入れて数日間、自然発酵させます。熟成が完成すると、ほのかな酸味と芳醇な香り、山の風土ならではの独特の風味が生まれます。
ハノイから製造所を訪れ、実際に味わったホアさんは次のように話します。
(録音)
「いろんな地域のティット・チュアを食べてきましたが、タインソンはひと味違います。山の玉蜀黍を炒って作った粉と在来種の豚肉を使うことで、ほかの地域とは違う味わいが生まれているそうです。」
(容器を開ける音)
グアバの葉などと合わせ、
唐辛子こしょうソースで食べるのが定番。
食べる際には、イチジクの葉やグアバの葉を添え、チリソースや魚醤につけていただきます。肉のほのかな酸味、玉蜀黍の粉の香ばしさ、葉のほろ苦さが一体となって、忘れがたい味わいが生まれます。トゥオン・フーズ社のフオン・トゥー副社長は次のように語ります。
(録音)
「原材料はシンプルで、赤身肉と豚皮を使います。豚皮はお尻や腰など少し脂がついた柔らかい部位を選ぶことで、コクがありながらもくどくない味に仕上がります。」
ティット・チュアは日常の食卓にのぼるだけでなく、祭りやお正月、大切な客人をもてなすときにも欠かせない一品です。一度食べると虜になる人が後を絶たず、お土産として買って帰る旅行者も少なくありません。初めて味わったトゥー・トゥイさんは次のように話します。
(録音)
「発酵肉と聞いて最初は戸惑いましたが、食べてみると全然違いました。ほのかな酸味と香りがあって、食べやすい。イチジクの葉と一緒にチリソースにつけると、とても美味しかったです。」
近年、タインソンのティット・チュアはフート省の枠を越え、ベトナム各地に広まっています。衛生管理を整え、専門的なパッケージングを施すことで市場への展開も進んでいます。フオン・トゥー副社長は次のように述べます。
(録音)
「製造工程を改良し、独自の配合で混ぜ合わせることで、塩加減が均一な品質の製品に仕上がります。現在、製品は全国の販売店や代理店に届いています。」
現在フート省では、このティット・チュアをOCOP、いわゆる「一村一品」プログラムの4つ星製品として重点的に育成しています。伝統の風味を守りながら時代の市場にも適応するこの料理は、ベトナムの食文化を豊かにするとともに、地域の人々に新たな経済的機会をもたらしています。
