ドンナイ省にあるシーモーニー(Seamorny)有限会社のレ・マイ・トゥン社長は、経験に依存してきた従来のカニ養殖を、テクノロジーとAIによって「再構築」しています。センサーとソフトウェアを用いた閉鎖型養殖モデルにより、水環境や栄養、成長サイクルを完全に管理しています。その結果、労働生産性は大幅に向上しました。以前は1000匹の飼育に3人を要していましたが、現在は1人で2000匹を管理できるようになりました。また、生存率にも大きな変化が現れています。自然環境では約10%、従来の養殖法では40%程度でしたが、AIの活用により90%以上にまで高まり、利益が明確に増加しました。さらに、システムはソフトシェルクラブの収穫時期を正確に特定します。脱皮後の約4時間という限られた時間を逃さないことで、商品の価値を最大限に高めています。
それに、徹底した管理により抗生物質の使用も排除され、高級市場の輸出基準をクリアした結果、その価値は通常のカニの4倍に達しています。トゥン社長は次のように述べています。
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「自然の池で養殖する場合、カニは脱皮の際に穴に隠れてしまうため、捕獲が極めて困難で収穫率が低くなります。また、他の開放型のモデルでは、周囲の環境から細菌感染や抗生物質の残留が発生しやすく、高級市場の輸出基準を満たすのが困難です。全べての工程を厳格に管理するモデルであって初めて、国際市場の厳しい検査に対応でき、国内販売よりもはるかに高い価値を生み出すことができるのです。」
栽培分野でも同様の変革がレモン栽培で起きています。ベトナムがかつて高価なイエローレモンを輸入に頼っていた現状を受け、「チャビ(Chavi)」貿易投資株式会社のグエン・ヴァン・ヒエン取締役会長は、タイニン省で種なしイエローレモンの研究と品種改良を行うことにしました。
100ヘクタールを超える農園では、デジタル技術とAIを活用して全生産工程を管理しています。モノのインターネット・システムが湿度、栄養、温度を監視し、データを分析することで、灌漑や施肥を最適化しています。これによりコストが削減され、安定した生産量と均一な品質が維持されています。また、AIは収穫予測や病害虫管理にも活用され、Global GAP=適正農業規範の国際基準に準拠したトレーサビリティを確保しています。
さらに、同社はフィールドにAIロボットを導入し、多言語による情報提供を行うことで、ベトナム農産物のブランドイメージ向上にも努めています。ヒエン取締役会長は次ぎのように明らかにしました。
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「タイニン省や科学技術局の支援を受け、スマート農業システムを導入しています。デジタル化とスマート制御システムの活用により、現代の潮流に合わせた近代化を段階的に進めています」
タイニン省とホーチミン市でバナナの専業農園を展開する「フイ・ロン・アン(Huy Long An)」有限会社も、手作業による生産からデータ管理へと移行しました。グエン・クアン・フイ社長は、この転換のきっかけについて、消費者が製品だけでなく「生産プロセス」を重視する日本市場への参入だったと振り返ります。以前は手書きの記録を取引先に提出していましたが、現在は電子日誌に切り替え、輸出するバナナのロットごとにデジタル化しています。肥料や人件費などのあらゆる工程が更新・保存されます。
管理者がアプリで勤怠や進捗を確認するなど、テクノロジーは現場に浸透しています。蓄積されたデータは原価計算や効率性の検証に活用され、生産者の意識も変化しました。フイ社長は次のように展望を述べています。
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「現在は各ロットの肥料代や苗代などの投資コストを明確に把握できるようになりました。今後1〜2年でデータが蓄積されれば、より正確な統計に基づいて生産を最適化し、さらなるコスト削減と価格管理が可能になるでしょう。非常に期待の持てる方向性だと確信しています」
カニ養殖からイエローレモン、バナナ栽培に至るまで、AIやテクノロジーはもはや遠い概念ではなく、生産性や品質、農産物の価値を直接高める手段となっています。課題は残されているものの、明確な成果を目の当たりにした農家や企業は、さらなるデータの蓄積と改善を進めています。これはベトナム農業が近代化を遂げ、国際市場での競争力を高めるための強固な基盤となっています。
