1975年に生まれたフ・ブロイ氏は、父親が奏でるゴングの音色や、母親が歌う民謡に囲まれて育ちました。ムノン族の文化への愛は、幼い頃から自然と彼女の心に深く染み込んでいったといいます。

フ・ブロイ氏は次のように語っています。
(テープ)
「私は幼い頃から、これらの民謡を耳にし、暗記していました。昔、集落で祭りがあるたびに、私はよく母についていって一緒に歌いました。家では、母が子どもや孫に歌う子守唄を聞いていたため、いつの間にか自分の中に染み込んでいったのです。民謡を学ぶことはそれほど難しくありません。大切なのは、根気強く耳を傾け、記憶し、そして真似して歌う練習をすることです」

ムノン族にとって、民謡は単なる歌声にとどまらず、コミュニティーの歴史や風習などを保存するものでもあります。子守唄や掛け合い歌、さらには叙事詩を語る歌に至るまで、そのすべてに、愛や団結、そして労働の精神に関する先祖たちの教えが込められています。
ムノン族の伝統文化の職人であるフ・ブロイ氏は、現地住民からコミュニティーの『生きた文化財』のように慕われています。幼少期から自らの民族のゴングの音や民謡に魅了されてきた彼女は、現在では単なる継承者にとどまらず、それらの貴重な価値を次世代に教え、守り伝える役割も担っています。観光客との文化交流の夜には、彼女の歌声が山々に響き渡り、集落の物語や愛、大自然について語りかけます。こうして、伝統文化の価値が広まり、世代を超えて受け継がれています。

母親の歌声を聞いて育ったフ・ブロイ氏の娘、フ・ニュー(H'Như)さんも、幼い頃から集落の伝統文化活動に深く携わってきました。現在は、ナムヌン村のムノン族伝統舞踊グループのリーダーを務めています。

フ・ニューさんは次ぎのように語っています。
(テープ)
「幼い頃から、母とともに、地域の伝統文化チームの皆さんと一緒に歌や踊りの練習をしていました。母がそのチームのリーダーだったこともあり、私は日常的に民謡や伝統舞踊に触れる機会に恵まれ、次第に自分たちのムノン族の民謡や踊りに情熱を抱くようになりました」

祭りや伝統文化の公演が行われるたびに、フ・ブロイ氏と娘がともに舞台に立つ姿は、地域でおなじみの光景となっています。集落に鳴り響くゴングの音色の中、母親が優雅で味わい深い民謡を歌い上げると、娘はそれに合わせてしなやかでリズミカルな舞を披露します。
近年、ナムヌン村の伝統芸能グループは、全国各地の公演や文化交流に相次いで参加し、多くの賞を獲得しています。フ・ブロイ氏と娘は、若い世代へとムノン族の伝統文化への情熱の灯火を伝え続けています。

ナムヌン村文化社会委員会フ・トゥオン・クヌール副委員長は、次のように述べました。
(テープ)
「フ・ブロイさんは現在、ゴングと民謡グループのリーダーを務めており、娘さんは伝統舞踊グループを担当しています。長年にわたり、この親子は若い世代への伝統文化の保存と伝承活動に精力的に取り組んできました。彼女が率いる伝統芸能団は、省内外の多くのフェスティバルや公演に参加し、実績を重ねています」

ジャ・ラー集落の小さな家から、フ・ブロイ氏は地域社会に貢献する活動を通じ、家族の伝統を受け継ぐための努力を重ねています。祖母の子守唄、母親の民謡、そして娘の舞踊へと至るまで、ムノン族の文化の源流は世代を超えて絶えることなく流れ続けており、ゴングの響きと歌声は、今も集落の中で力強く響き渡っています。