ベトナム中部クアンガイ省に住む、生まれつき視覚に障害がある教師のヴォ・カム・ザンさんは、ポッドキャスト番組「カット・ティエン」を開設しました。カット・ティエンというベトナム語の言葉は「声を出す」という意味です。この番組は、視覚障害者同士をつなぐ場であるとともに、社会全体が彼らの声に耳を傾け、理解を深めることで、前向きなエネルギーを広める狙いです。

師範大学音楽学科を卒業し、教師になるという夢をかなえたザンさんの最大の願いは、視覚障害のある子どもたちが生活スキルを学び、社会に溶け込めるよう支援することです。
ザンさんは次のように話しています。
(テープ)
「自宅で音楽教室を開き、子どもたちにオルガンを教えるほか、才能のある高校生にも音楽を指導しています。視覚障害者が抱える困難を自分自身も理解しているからこそ、彼らが社会の一員として自立できるスキルを身につけられるよう、力になりたいと考えています」
番組の制作は、ハノイに住むパートナーのグエン・トゥイ・ズオンさんと共同で行われています。二人は夜遅くまでオンラインで打ち合わせを重ね、ザンさんが企画やゲストの選定を担当し、ズオンさんとボランティアチームが技術面や撮影、編集などをサポートしています。この連携により、プロフェッショナルで質の高いコンテンツ制作が可能になりました。
ザンさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「現在は月に一度、視覚障害児への教育や社会の影響をテーマにした対談コーナーを配信していますが、今後は生活スキルの指導や、家族向けのサポート方法を紹介するコーナーも増やしていく予定だとのことです」

共同制作者のズオンさんは、ザンさんの熱意を次のように評価しています。
(テープ)
「ザンさんは非常に細やかで、放送の経験はなかったものの、内容の構成やゲストとの打ち合わせにとても積極的に取り組んでいます。現在はITに詳しい若手メンバーも加わり、より魅力的な番組作りを目指しています」
視覚情報が主流となっているデジタル社会において、音声のみを扱う「ポッドキャスト」は、視覚障害者にとって非常に親しみやすいプラットフォームとなっています。作り手は、自身の声と録音機器さえあれば、かつては実現が困難だと思われていたコンテンツ制作を自由に行うことができます。視覚障害者の支援活動に長年携わり、番組にも出演したホアン・ヴァン・リーさんは、次のように述べています。
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「ザンさんは視覚障害者であるため、当事者のコミュニティについて深く理解しており、自身のスキルを最大限に活用しています。彼女は視覚障害のない若者たちと連携し、コンテンツ制作に取り組むことで、互いの強みを活かしながらポッドキャストの番組制作や運営を効率的に継続しています」
ザンさんにとって、 ポッドキャスト制作は決して容易なものではありませんでした。膨大な業務の処理に加え、コミュニケーションの取り方、資料収集、撮影、そして編集といった作業には、多大な時間を要します。こうした数々の困難に直面しながらも、ザンさんはそれらを乗り越えるべく尽力してきました。
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「司会の経験が浅く、最初はとても緊張しました。ゲストに話を振られて戸惑ってしまった失敗談もありますが、それも良い思い出です。今後はスキルを磨き、さらに質の高い内容を届けていきたいです」
ザンさんは現在、Facebookや、「カット・ティエン」と名づけられたYouTubeでも展開しています。デジタルプラットフォームを通じて、視覚障害者が生活や学習、仕事に必要なスキルを学び、社会とのつながりを深められるよう、彼女の挑戦は続いています。