ガンチュオイ川は、険しい山々の間を縫うように流れています。東チュオンソン山脈の、ラオスとの国境に近い地域に源を発し、フオンディエン村を通って、旧ブークアン県のフオンクアン村を流れる全長は45キロメートルに及びます。川幅は最も広いところで100メートルに達します。

かつてガンチュオイ湖がなかった頃、洪水の季節になると、この地域の住民は深刻な被害に見舞われていました。しかし、2017年以降、川をせき止めて水をため、流れを調節するようになってからは、この地域や周辺地域で洪水の被害が発生しなくなりました。

ハティン省のブークアン国立公園の中心部に位置するガンチュオイ・カムチャン灌漑施設の貯水容量は7億7500万立方メートルに達し、ベトナムで3番目の規模です。

主ダムは最大高さ64.8メートル、長さ363メートルに及び、土を主体とした灌漑用のダムとしては、ベトナムで最も高いものです。貯水池の流域面積は、およそ408平方キロメートルです。

ハティン省ブークアン国立公園のグエン・ザイン・キー園長は、次のように話しました。

(テープ)

「ガンチュオイ・カムチャンの水力・灌漑施設は、2008年に建設が始まりました。完成後、この貯水池は農業用水や生活用水の供給に加え、水力発電にも利用されています。そして、何より重要なのが洪水を防ぐ役割です。」

この施設は、国の重点プロジェクトとして、さまざまな役割を担っています。農地や養殖地、合わせて3万2000ヘクタール以上への灌漑用水の供給をはじめ、生活用水や工業用水の確保、水力発電、河川流量の調節、そして下流域の洪水被害の軽減などです。

特に、この灌漑施設は地元の各地で洪水を抑え、地域の安全を守る役割を果たしています。さらに、ハティン省の経済・社会の発展を後押しし、農業や農村の振興にも新たな活力をもたらしています。

また、雨季や洪水の時期には、南北鉄道やホーチミン道路、南北を結ぶ50万ボルトの送電線などの安全確保にも貢献しています。地域だけでなく、国全体の経済発展を支える重要な施設となっています。

ハティン省マイホア村に住むグエン・ミンさんは、次のように話しました。

【テープ】

「ガンチュオイ湖ができる前は、平均して毎年2、3回にわたり、洪水から逃げなければなりませんでした。ところが、この7年ほど、ガンチュオイ灌漑施設に水がためられ、放流も適切に調節されるようになりました。そのため、大きな洪水が起きても、一部の道路が局地的に冠水する程度で、住民の住宅には被害が及ばなくなりました。本当にうれしく思っています。」

ガンチュオイ・カムチャン灌漑施設の水の利点に注目して、いけす式の養殖に思い切って投資する住民も増えています。高い収益を上げている人もいます。
ガンチュオイダムで3年間、いけす式の養殖を続けているハティン省ブークアン村のゴー・バン・ミンさんは、次のように話しました。

【テープ】

「ここの水は魚の成長にとても適しています。魚は早く大きくなり、病気にもかかりにくいです。1つのいけすの容量は120立方メートルで、6か月から8か月ほど育てると、1匹当たりの重さは2キロから5キロになります。1つのいけすで1回の養殖につき約1トンの魚を収穫でき、年に2回出荷しています。」

この地域の人々は、何世代にもわたり、険しい山道や急流の中で暮らしてきました。交通の便が悪く、移動には苦労していました。しかし、ガンチュオイ・カムチャン灌漑施設の整備に加え、コンクリート舗装の道路網が広がったことで、山間部の村々と平野部との間で、商品の流通が活発になってきました。

ガンチュオイ・カムチャン灌漑施設は洪水を防ぎ、水を供給するだけでなく、農業や養殖業を支え、交通や物流の改善にも貢献しています。地域の人々の暮らしは、少しずつ、着実に変わり始めています。