運航開始から10年以上が経った今、当初は目新しかった水上観光ツアーが、川沿いの史跡や景勝地、郷土料理、文化遺産をつなぐ観光ルートへと発展しています。さらに、タインホア省の夜の観光商品を開発する新たな可能性も広がっています。
現場の音
ハムロン橋から下流におよそ200メートルのところにあるホアンロン船着き場を出発し、遊覧船はゆっくりと岸を離れ、マー川をめぐる旅が始まります。
船のデッキからは、いつもとは違うタインホア省の風景が見えてきます。遠くには、激しい戦争の歴史を刻むハムロン橋が見えます。そして両岸には、昔ながらの農村や川が運んできた土砂が堆積した中州、何世代にもわたって受け継がれてきた史跡や景勝地が広がっています。2015年に運航を開始した「マー川を行き交う旅」は、タインホア省で初めての水上観光ツアーです。
この旅では、ドンソン古村やチュックラム・ハムロン禅院、コー・ボー寺院など、これまで個別の観光地として訪れていた場所が、マー川という一本の流れによって結ばれています。このツアーを体験した観光客のチャン・ティン・トゥオンさんは、次のように話します。
【テープ】
「タインホア省の自然の景観がよく保全されていると思います。今回のマー川ツアーで訪れたコー・ボー神社やチュックラム禅院などの史跡は、とても印象的でした。観光客に文化や歴史の価値を伝えてくれる、素晴らしい場所だと思います」
現場の音
「マー川を行き交う旅」は、単に景色を楽しむだけの旅ではありません。川の流れに沿って進む遊覧船の中では、音楽や歌、そして川沿いの地域ならではの料理を通して、タインホア省の文化が少しずつ紹介されていきます。
観光客は、川魚のハゼや川エビ、酸味の効いたスープ、ツバキ菜でエビを巻いた料理など、地元で親しまれている食材を味わうことができます。身近な食材ですが、地元の人々ならではの調理法によって、独特の味わいに仕上げられています。フンイエン省から訪れたホアン・ティ・ラン・アインさんは、次のように話します。
【テープ】
「一番印象に残ったのは、地元ならではの料理と、その独特な味わいです。川エビやハゼ、酸っぱいスープがとてもおいしかったです。特に、ツボクサでエビを巻いて、マスタードをつけて食べる料理は、とても珍しくて印象的でした。食べた後も、舌にしっかりとした味わいが残りました」
料理がマー川の味を届けてくれるとすれば、マー川の民謡は、観光客を川の記憶へと誘います。
現場の音
古くから、マー川の民謡は、川を上り下りする渡し船とともにありました。長い年月を経て、マー川の民謡は、タインホアを代表する特色ある文化の一つとなっています。街に明かりがともるころ、遊覧船が船着き場を離れます。観光客は、夜のマー川の景色を眺めながら、地元料理を味わい、マー川の民謡を楽しみます。また、音楽や芸能を通じた交流や、灯籠流しも体験できます。
タインホア省の内陸水路・交通建設会社のホアン・バン・フイ取締役会長は、次のように話します。
【テープ】
「マー川の民謡は、タインホア省の人々を象徴する文化の一つになっています。ですから、『マー川を行き交う旅』、特に夜のツアーを通して、この文化を観光客の皆さんに届けたいと考えています」
「マー川を行き交う旅」は、地域にある観光資源を新たな形で生かす取り組みとして、その可能性を示しています。川を単なる景観として見るのではなく、文化を体験する空間へと変え、観光の新たな価値を生み出しているのです。そして、マー川の上で再び民謡が響き渡るとき、タインホアの歴史と文化を刻んできたこの川を通して、過去と現在もまた、より近くにつながっていくのかもしれません。
