この市場は単に商品を売り買いするだけのところではありません。国境の町で暮らす人々の生活を身近に感じられる、そんな場所でもあります。ティンビエン市場は、ベトナムとカンボジアの国境近くにあります。豊富な品ぞろえと手頃な価格で人気を集め、メコンデルタを代表する買い物スポットの一つとして知られています。
ティンビエンは、「オウギヤシの里」とも呼ばれています。市場では、オウギヤシの実を丸ごと仕入れ、その場で切って販売しています。そのため、いつでも新鮮な実を味わうことができます。さらに、タイから輸入された商品も数多く販売されています。ティンビエン市場で長年商売を続けている、商店主のグエン・ミン・ドゥックさんの話です。
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「この市場は昔からありましたが、その後、改修されて、よりきちんと整備されました。ここを訪れる人の多くは観光客で、地元の特産品やタイの商品をお土産として買っていきます。やはり観光客が一番多いですね。」
市場を訪れると、魚の発酵調味料やメコンデルタのさまざまな干物を売る店がずらりと並び、目を奪われます。特に目を引くのは、ライギョや小型のナマズの一種などを使ったものや、エビの発酵調味料です。干物では、ナマズやエイ、イカ、干しエビなど、種類も豊富です。商品はきれいに並べられ、価格も手頃です。なかでも、「カー・リン」という魚を使った発酵調味料は特に人気があり、多くの人が買い求めています。
こうした発酵調味料は、さまざまな料理に使われます。ティンビエン市場で魚の発酵調味料を販売しているレ・ティ・トゥさんです。
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「カー・リンという魚の発酵調味料が一番よく売れます。煮込み料理にしたり、そのまま食べたりします。ライギョのものは蒸して食べます。」
市場には発酵調味料だけではありません。化粧品や衣類、靴、布地などを専門に扱うエリアもあり、砂糖やココナツゼリーなど、さまざまな商品が販売されています。手頃な価格も、観光客を引きつける大きな理由の一つです。観光客だけでなく、在外ベトナム人も帰国の際にこの市場に立ち寄り、買い物をすることが少なくありません。
先ほどのトゥさんは次のように話しました。
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「ここが発酵調味料の売り場で、奥には布や服などの売り場があります。値段も手頃です。海外で長く暮らしているベトナム人も、帰国すると、ここに来て発酵調味料や化粧品、服などを買っていきます。」
発酵調味料の売り場を抜けると、国境地域ならではの商品がさらに並んでいます。
おなじみの地元産品だけでなく、この地域で昔から食用や薬用に使われてきた昆虫や小動物を扱う店もあります。サソリやヤモリなども、その一つです。市場でこうした商品を販売しているサウ・クエンさんです。
【テープ】
「ヤモリやサソリは、1匹1万ドン以上、0.3ドルほどで販売しています。お酒に漬けて使います。地元の人たちが捕まえてきたものを、私たちが買い取って販売しています。最近は、こうしたものも少なくなってきました。」
ティンビエン市場の店々を歩いてみると、ここが単なる物の売り買いの場所ではないことが分かります。昔ながらの発酵調味料の瓶や、バイヌイ地域ならではの特産品、観光客向けの商品。その一つ一つに、この市場と長年ともに歩んできた人々の暮らしと生業が映し出されています。
