ベトナムの知的財産関連法制は、過去20年余りにわたって継続的に整備されてきました。2005年に制定された知的財産法は、その後、2009年、2019年、2022年と段階的に改正が重ねられています。そして、ことし4月1日には最新の改正法が施行されました。
この改正法は、行政手続きの簡素化とデジタル化の推進を柱とし、権利の保護にとどまらず、知的財産の活用と商業化へと施策の幅を広げた点で、重要な転換点となっています。
特許・商標・意匠の審査期間の短縮、迅速審査制度の導入、デジタル分野での保護対象の拡大に加え、人工知能、いわゆるAIに関する問題が法律に初めて明示されました。環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定、いわゆるCPTPPや、ベトナム・EU自由貿易協定など、新世代の通商協定が求める水準への対応も、今回の改正の重要な柱となっています。
商工省知的財産局のグエン・ホアン・ザン副局長は、改正法の民事措置に関して、次のように説明しています。
(テープ)
「改正知的財産法では、民事上の新たな措置が設けられました。インターネット上に侵害コンテンツが確認された場合、裁判所が削除・非表示・アクセス遮断を命じることができるようになります。また、侵害行為に関わるアカウントやウェブサイト、アプリなどへのアクセスを、緊急措置として迅速に遮断できる仕組みも新たに導入されています」

制度整備と並んで、執行面での強化も進んでいます。今年2月、首相は知的財産権執行の強化を求める指令に署名しました。この指令は、省庁間の連携強化と市場管理の厳格化を求めるとともに、行政処分と刑事手続きの両面で侵害行為に対処するよう、関係機関に指示しています。
知的財産局のレ・フイ・アン副局長は、執行の重要性について次のように強調しています。
(テープ)
「いくら権利の登録をしっかり行っても、現場での執行が伴わなければ、知的財産の価値は守れません。侵害を防ぎ、違反に厳正に対処することこそが、技術革新を後押しし、公正なビジネス環境をつくる基盤になるのです。」
こうした取り組みの成果は、数字にも表れています。2021年から2025年の5年間で、ベトナムは工業所有権の出願を42万3,000件以上受理し、25万5,000件以上の登録証を発行しました。いずれも前の5年間を大きく上回る数字です。また、国内からの特許出願数が年々増加していることは、ベトナム企業や研究者の間で、独自の技術開発とその権利化への意識が高まっていることを示しています。
国際的な評価という面でも、ベトナムは東南アジア地域において、知的財産分野の改革速度が速い国の一つとして認知されています。世界知的所有権機関や世界貿易機関、さらにASEANなどの多国間の枠組みを通じた協力にも積極的に参加し、制度の国際標準への調和を着実に進めています。
グローバルな競争が激しさを増し、デジタル経済が急速に発展する中、ベトナムの知的財産分野における改革は、国際統合の要件を満たすだけでなく、イノベーションを促し、持続可能な経済成長を支える土台を着実に築くものとなっています。