2026年6月8日付の外国投資を活用した経済の発展に関する政治局決議第10号は、FDI=外国直接投資の誘致に関する考え方を大きく転換するものです。資本規模を優先する従来の方針から、技術、経営、イノベーション、経済全体への波及効果を重視する方針へと転換します。
ベトナムは単に海外からの資金を受け入れるのではなく、国際的な資源を主体的に選び、活用することで、国家の競争力を高めようとしています。決議は、40年にわたるドイモイ刷新政策と外国投資誘致の実践を総括したうえで発出されました。
外国投資に関する考え方を刷新
改革政策の実施からおよそ40年、ベトナムは地域でも有数の投資先となりました。FDI部門は、輸出、雇用創出、経済構造の転換、国際経済への統合に重要な役割を果たしています。
6月30日に開かれた決議第10号の学習・周知徹底と実施に関する会議で、トー・ラム書記長・国家主席は、ベトナムの輸出入総額がGDPの180%を超え、輸出額の約75%をFDI部門が占めていると述べました。一方で、これからはアプローチを変える必要があると強調しました。
(テープ)
「今日、ベトナムは以前とは異なる立場にあります。外国の資源をいかに効果的に活用し、国内の力、技術力、競争力、経済の自立性を高めるかという問いに答えなければなりません」
これが決議第10号の核心です。以前は資本の誘致が中心でしたが、今は国際資源を効果的に活用し、国家の競争力を高めることが目標となっています。
(テープ)
「現在の外国投資誘致の目標は、こうした資源をベトナム経済の力へと転換することです。3つの経済部門は、共通の戦略の下で協力し、相乗効果を生み出さなければなりません」
資本誘致から成長力の強化へ
決議第10号は、電子産業、半導体チップ、人工知能、ビッグデータ、バイオ技術、エネルギー、先端材料、グリーン産業、先進物流などを、外国投資誘致の重点分野に挙げています。
ベトナムの大手資産運用会社「ドラゴン・キャピタル」の創業者兼会長、ドミニク・スクリブン氏は、次のように述べました。
(テープ)
「決議第10号は、重要なのは単なる資本ではなく、高度な技術や技術移転、先進的な経営手法を伴う質の高い投資だと強調しています。これは外国投資家にとって非常に前向きなシグナルです」
目標の実現に向け、制度整備とともに、地方でも新たな成長の原動力づくりが進められています。ホーチミン市は、国際金融センターを、質の高い資本を呼び込むための戦略的な手段の一つとして位置づけています。
ホーチミン市人民委員会のグエン・バン・ドゥオク委員長は、次のように述べました。
(テープ)
「国際金融センターは、世界の金融機関を呼び込み、FDIがもたらす技術、経営ノウハウ、データ、専門家ネットワークといった無形の資産を取り込むとともに、ベトナム企業が国際的な資金にアクセスし、世界のバリューチェーンへの参画を深める機会を広げます」
決議第10号の最大の特徴は、投資優遇措置の拡大ではなく、発展に関する考え方を根本から変えた点です。外国投資は国内の力を置き換えるためではなく、国内の力を強め、自立性を高めるためのものです。急速な成長だけでなく、持続可能で包摂的、質の高い発展を目指すことが、ベトナムの新たな発展段階における一貫した方向性です。
