韓国政府に対する朝鮮民主主義人民共和国の事実上の要求事項とみられ、韓国政府の対応が注目されます。声明で示された立場は新たに発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権に対する朝鮮民主主義人民共和国の韓国政策の中心が含まれているといえます。

朝鮮民主主義人民共和国は声明で、韓国の新政権が推進する人道支援など南北の民間交流再開を「根本的な問題解決を避けようとするもの」と指摘し、大きな枠組みでの政策転換を促すことに集中しました。特に軍事的緊張の緩和については、朝鮮半島の緊張状態を解消するための措置が至急であるとし、南北軍事境界線周辺の緊張を緩和させるために実践的な行動を取るように韓国側に求めました。韓国・慶南大極東問題研究所の金東葉(キム・ドンヨプ)教授は「非政府機関の往来などは根本的な問題ではなく、持続可能な南北関係のためには軍事的な問題から解決しなければならないとの主張」と説明しました。文大統領は大統領選の際に出した公約で、「南北の軍事管理システムを構築して偶発的な衝突を防止し、軍事的な緊張の緩和と軍備統制を推進する」としており、軍事的な緊張の緩和の必要性を訴えていました。

そのため緊張緩和が対話再開の糸口になるとの見方も一部では出ているものの、緊張緩和に関する協議が行われても関係改善にはつながるかは不透明です。緊張緩和を議論するための協議が実現したとしても、朝鮮民主主義人民共和国は韓米合同軍事演習の中止など、韓国側が受け入れ難い要求を出すとみられ、韓国側が得られることもはっきりしません。朝鮮民主主義人民共和国が主張する軍事境界線周辺での緊張緩和措置には拡声器による放送の中止などが含まれるとみられますが、韓国側では反対世論が強まることが予想されます。