こうした状況を受け、遺骨の捜索や収容、身元特定の効率を高めるため、科学技術の新たな成果を引き続き活用することが求められています。

「戦没者の遺骨の捜索・収容と身元特定を推進する500日間キャンペーン」の一環として、全国各地の戦没者墓地では、DNA検体の採取が一斉に進められています。これと並行して、戦没者の親族のDNAデータベースについても、全国規模で整備が進められています。

今年上半期、公安省は、身元不明の戦没者の親族から採取した5万3000件余りのDNAデータを分析し、国家データベースに統合しました。また、関係省庁や研究機関と連携し、身元不明だった戦没者25人の身元を特定し、正式に認定しました。計画では、2026年中に戦没者の親族からおよそ30万件のDNA検体を採取し、照合に活用するデータベースを拡充することにしています。

DNA検体とデータベースの整備が進む中、ベトナム科学技術アカデミーが2025年から試験的に導入している次世代DNA鑑定技術「NGS-SNP」によって、戦没者の遺骨の身元特定に新たな可能性が開かれています。

ベトナム科学技術アカデミー生物学研究所DNA鑑定センターのチャン・チュン・タイン博士は、次のように話しています。
(テープ) 
「次世代シーケンシングによるSNP解析を用いたDNA鑑定は、核ゲノムを対象とした一連の解析技術です。これは、ベトナムにおけるDNA鑑定の大きな進歩です。最大の利点は、鑑定に協力できる親族の範囲を広げられることです。これまでのように母系だけに限らず、父系にも対象を広げることができます。また、4代、5代離れた子孫まで鑑定の対象とすることができます。さらに、裏付けとなる情報が十分にそろっていない場合でも、結論を出すことができる点も重要な利点です」

科学技術の発展によって、戦没者一人ひとりの名前を取り戻す歩みに、新たな希望と可能性が生まれています。