フィンランドのヘルシンキ空港=THX/TTXVN |
プラハでのEU=欧州連合の加盟国の外相会議で議論の中心になるのは、対ロシア追加制裁としてエストニアなどが求めるロシア人への観光ビザ発給停止です。ロシア近隣国が支持を示す一方、人道的・経済的な理由で慎重論も出ており、加盟国間には温度差があります。EUは全加盟国での合意に向け、ビザ発給に制限をかける方向で検討を進めています。
EUは、2月のウクライナ侵攻に伴いロシアの航空機に対して領空を閉鎖したほか、プーチン大統領に近い新興財閥(オリガルヒ)や政権幹部などのEU渡航を禁止しました。
一方、ロシア国民は陸路で欧州に入っています。欧州国境沿岸警備機関が公表したデータによりますと、侵攻が始まった2月24日から8月22日までに国境検問所を通過して欧州へ渡ったロシア人は約100万人です。うち約61%がフィンランドとエストニアへ向かいました。
両国は欧州で移動の自由を認める「シェンゲン協定」に参加しており、こうした国を経由すれば欧州の大半を往来できるのが現状です。このため、バルト3国やポーランドなどはロシア人の入国禁止やビザ発給の停止などに踏み切り、EU全体でも対ロ制裁強化を求めています。
これに対し、ドイツのショルツ首相は今月中旬「この戦争はロシア国民ではなくプーチン(大統領)の戦争だ」と強調しました。ロシア国民が政権から逃れる手だてがなくなるとして、ビザの全面的な発給停止に懸念を示しました。アメリカ政治専門紙ポリティコによれば、ロシア人観光客が経済を支えるギリシャとキプロスも反対しています。
こうした中、イギリス紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は28日、EUがロシアと結んだビザ申請に関する協定を停止し、発給に制限をかける案を検討していると伝えました。ウクライナ侵攻が長期化する中、結束のほころびが露呈しないよう、EUは合意の落としどころを探っているとみられます。(時事通信)

