核兵器の保有、配備などを全面的に禁じる核兵器禁止条約(核禁条約)の第1回締約国会議が23日、ウィーンで閉幕しました。採択された政治宣言「核なき世界への明確な決意」には、ウクライナに侵攻したロシアの「核の恫喝(どうかつ)」を名指しで非難する言葉が入りませんでした。ベネズエラやキューバ、南アフリカなどが反対したためです。

核禁条約は「核を使用する威嚇」も禁じている。ロシアの行為は条約に明らかに反しており、国連外交筋は政治宣言について「核禁条約の値打ちとは何なのか」と批判しました。

南アとキューバ、ベネズエラは、国連総会が3月の緊急特別会合でロシアのウクライナ侵攻を非難した2度の決議の採決時に賛成票を投じなかった「隠れロシア派」です。第1回締約国会議に出席した核禁条約の批准国49カ国・地域のうち、隠れロシア派は南アなど3カ国を含む12カ国ありました。

オーストリアやアイルランドなど名指しでのロシア非難を望む国があった中、隠れロシア派の意見が力を持ったのは、クメント議長(オーストリア)が締約国の「分断」を警戒し、賛否が表面化する投票にかけなかったからです。

その姿勢は、草案段階で開催地の地名を冠し「ウィーン宣言」としていた政治宣言の名称ですが、南アの要求で変更された閉幕直前のやりとりにも表れました。

南アは「国連主導の会議が出す宣言に、特定の地名を冠するべきでない」と主張しました。2001年に南ア・ダーバンで開かれた国連主導の世界人種差別撤廃会議では「ダーバン宣言」が出されたにもかかわらずです。メキシコやアイルランド、インドネシアなど6カ国が南アの主張を「おかしい」と訴えましたが、クメント氏は「大事なのは宣言の中身だ」と変更を受け入れました。

今回の会議は、核保有国が新規加盟を希望する場合の核の全廃期限を10年、他国の核を国内に配備している国が加盟を希望する場合の核の撤去期限を90日と決めました。次回は来年11月27日~12月1日にニューヨークの国連本部で開催し、メキシコが議長国を務めるとしています。(産経新聞)