パレスチナ国家を認める「2国家共存」実現への道が開かれましたが、聖地エルサレムの帰属など中核的問題を巡る和平交渉は難航し、2014年に暗礁に乗り上げました。占領地ヨルダン川西岸ではユダヤ人入植者による襲撃が急増しています。パレスチナでは新興武装勢力が生まれている。和平機運が霧消する中、暴力の連鎖は拡大する一方です。
「ずっと標的にされてきたが、こんな規模は初めてだ」。西岸北部ハワラで生まれ育ったユセフさん(44)は、ユダヤ人入植者数百人が2月にこの集落を襲った事件を振り返りました。
襲撃は、ハワラで入植者2人が銃殺されたことへの報復でした。無差別に家屋や車に火を放ち、ユセフさんもトラックなどを失いました。6歳の息子のおねしょが始まり、外出を怖がるようになりました。「せめて子供らしく遊ばせてあげたい」と語る妻のラワンさん(33)も脳裏に刻み込まれた恐怖に苦しんでいます。
国連は8月、入植者によるパレスチナ人や集落への襲撃が23年1月から半年間で591件あったと報告しました。集計し始めた06年以降最多となった昨年を大きく上回るペースで増えています。
背景には、イスラエルで昨年12月、対パレスチナで強硬姿勢を取る極右政党と連立を組むネタニヤフ政権が発足したことがあります。極右政党党首のスモトリッチ財務相はハワラを「壊滅させる必要がある」などと発言しました。入植者の過激化を助長しているとみられています。(時事)