イランのガリバフ国会議長(右)=AFP/TTXVN

査察協力の継続を求めるIAEAに対し、イランは正式に返答をしていません。IAEAが査察を実施できなければ、核兵器開発の意図をうたがわれるイランの原子力活動の検証が一段と困難になります。ウィーンで進むイラン核合意の再建交渉も前進が難しくなりそうです。

ガリバフ氏は記録を当局が保管していると指摘し、事前に警告していたデータの削除には踏み切っていないことを示唆しました。

IAEAとイランは2月に3カ月間の暫定措置として最低限の検証や監視を続けることで合意、5月にこれを1カ月延長しましたが、期限切れとなりました。イランはアメリカの制裁解除が実現すれば、保管しているデータをIAEAにわたす手はずでした。

イランでは今月、穏健派ロウハニ大統領の任期満了にともなう選挙で保守強硬派のライシ司法府代表が当選し、従来の国際協調路線を修正すると予想されています。

強硬派が多数を占めるイラン国会は2020年末、アメリカの制裁の早期解除をうながすため、ロウハニ師が率いる政府にIAEAとの協力を制限することを義務付ける法を成立させました。交渉に時間的な猶予をあたえるためIAEAとの協力を延長したロウハニ師の対応に、国会内で不満がくすぶっています。

アメリカのトランプ前政権がイラン核合意から一方的に離脱し制裁を復活させたのに対し、イランはウラン濃縮レベルの引き上げなど合意違反を重ねました。ウィーン会合では、アメリカの制裁の解除の範囲や手続きをめぐりアメリカとイランの溝が埋まっていません。(日本経済新聞)