イランのライシ大統領=AFP/TTXVN

イランのバゲリ外務次官は3日、EU=欧州連合の対外活動庁のモラ事務局次長と電話で29日の協議再開を確認しました。核合意の再建協議は6月まで6回開かれましたが、その後、長く中断されていました。8月に就任したイランの反米強硬派、ライシ大統領は協議再開そのものを交渉カードとして使っていたもようです。

バゲリ氏はツイッターで「違法で非人道的な制裁を終わらせる」ことが話し合いの目的だと主張しました。

イラン核合意は2015年に成立したイランとアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国による取り決めました。イランの原子力活動を大きく制限するかわりに同国への国際制裁を解除する内容でした。だが、トランプ前政権のアメリカが18年に離脱し、金融や原油輸出を巡る強力な対イラン制裁を復活させました。

イランの交渉での要求は大きくわけて3つあります。トランプ氏が復活させた制裁の即時全面解除、アメリカの再離脱をふせぐ不可逆的な合意保証、原子力以外の項目を合意に盛り込むことへの反対です。

アメリカ国内の反イラン強硬派や、イランと対立するイスラエルは、イラン核合意自体に反対です。イランのミサイル開発抑制や、親イラン勢力への支援を通じた中東各国への介入の停止などを新たな合意として盛り込むよう求めています。

核合意再建には中国やロシアの協力が欠かせません。しかし、貿易や新型コロナウイルス感染拡大の責任の所在、気候変動対策など多くの分野で米中、米ロはそれぞれ対立を深めています。アメリカが望むかたちでの同国の核合意復帰を中ロが助ける理由はありません。

イランは核合意からの重大な逸脱を重ねています。ウランの濃縮レベルの引き上げや貯蔵増で核兵器取得まで技術的に可能な時間がどんどん短くなっています。IAEA=国際原子力機関によるイランの原子力施設への査察も事実上、停止しています。

イランと対立するイスラエルは、イランが核兵器開発を突如、宣言する事態を警戒します。核合意が形ばかりとなり各国の相互不信が高まれば、中東地域が一段と不安定になりかねません。(日本経済新聞)