ロイター通信によりますと、デンマークの首都コペンハーゲンでは24、25両日、反イスラム団体の活動家がエジプトやトルコ、イラクの大使館前でコーランを燃やしました。スウェーデンの首都ストックホルムでも6月、イラク出身の難民男性がモスク(イスラム礼拝所)そばでコーランを焼却しました。男性は7月20日にもコーランを踏みつけるなどしました。
コーラン焼却は、中東からの移民や難民の増加に伴う欧州諸国での反イスラム感情増大が背景にあるとみられ、「反移民」を掲げる極右団体が関与するケースも多いです。エジプト外交評議会理事のサラー・ハリマ氏(74)は、「イスラム嫌悪」などによるコーラン焼却は「何度も起きており、目新しい出来事ではない」と話します。
聖典冒涜(ぼうとく)にイスラム諸国は激怒します。イラクの首都バグダッドでは20日、暴徒がスウェーデン大使館を襲撃し火を放ちました。イラク政府は、スウェーデン大使の国外退去を発表し「コーランが再び燃やされれば、断交する必要がある」と警告しました。トルコ外務省は「卑劣な攻撃だ」と非難しました。エジプト、サウジアラビア、UAE=アラブ首長国連邦などからも抗議の声が上がりました。
スウェーデン、デンマーク両政府はコーラン焼却に遺憾の意を表明しました。ただ、「表現の自由」を尊重する立場から、こうした行為を制止するのは難しい事情があります。
外交的緊張は、欧州の安全保障にも影響を及ぼしています。NATO=北大西洋条約機構の加盟を目指すスウェーデンでは1月にもコーランが燃やされ、これに反発したトルコで承認手続きが一時停滞します。コーランへの冒涜が続けば、再度手続きが遅れる可能性もあります。
そうした状況についてハリマ氏は、ウクライナ侵攻を続けるロシアが糸を引いている可能性もあると指摘します。スウェーデンのNATO加盟を阻害するとともに、欧州への反感を利用してイスラム諸国への接近を試みているとの見方を紹介しました。「ロシアらしいやり方だ。あり得ない話ではない」と語りました。(時事通信)
