アメリカとフィリピンは22日、フィリピンで合同軍事演習を28日から実施すると発表しました。両国から約8900人が参加する見通しで、海上での安全保障や水陸両用作戦などを重点的に訓練します。南シナ海の領有権問題で対立する中国へのけん制となりそうです。

合同軍事演習「バリカタン」は28日から4月8日まで約2週間行います。フィリピン軍は3800人、アメリカ軍は5100人がそれぞれ参加します。両国は毎年定例で行っていますが、新型コロナウイルスの感染拡大で2020年は中止し、21年は規模を大幅に縮小していました。在フィリピンアメリカ大使館は今回の演習は「これまでで最大規模」としています。

フィリピンの北部ルソン島で実施する見通しで、海上での安全保障に関する訓練に加え、実弾射撃訓練や航空演習、人道支援など幅広い訓練となります。

フィリピンはアメリカと軍事同盟を結びながらも、ドゥテルテ大統領のもと、一時は同国内でアメリカ軍の活動を認める「訪問軍地位協定(VFA)」の存続が危ぶまれました。21年7月にオースティンアメリカ国防長官がフィリピンを訪問しVFA存続を決めてから初めてのバリカタンとなるため、両国は今回を機に協力関係を示す狙いがあります。

アメリカにとってベトナム東部海域(南シナ海)は米中対立の最前線であり、フィリピンは重要な軍事的要衝に位置づけます。ドゥテルテ氏は直近ではロシアによるウクライナ侵攻の影響がアジアに波及した場合、「アメリカがフィリピンの軍事施設を利用できるようにする用意がある」と発言したことが明らかになっています。

中国はかねてベトナム東部海域の広範な海域で領有権を主張します。アメリカ、フィリピン両国の警戒感は高く、大規模な軍事演習で中国をけん制する思惑があるようです。(日本経済新聞)