ただ、アメリカが主導したNAFTA=北米自由貿易協定の再交渉では、中国を念頭に非市場経済国との自由貿易協定(FTA)締結を阻止する条項が盛り込まれました。アメリカは来年にも始まる日本との物品貿易協定(TAG)交渉でも同様の措置を要求する恐れがあり、中国を含むRCEPの実現が脅かされます。

「NAFTA再交渉の結果は残念だが、RCEPとは直接関係ない」。RCEP交渉を担当する経済産業省の幹部はこう強調します。だが、アメリカがNAFTA見直しの勢いに乗り、TAG交渉でも攻勢を強める可能性は高い。アメリカの対中強硬姿勢がRCEP交渉に影響を与えないためにも、年内妥結が重要となります。

アメリカは9月末までにカナダ、メキシコの両国とNAFTA再交渉でそれぞれ合意しましたが、自動車の対米輸出規制や自国通貨の安値誘導を禁じる為替条項を盛り込み、管理貿易色が強い内容です。またトランプ米政権は自動車の輸入制限も検討するなど、保護主義的な政策を相次ぎ打ち出します。

自動車輸入制限を回避するため、日本はアメリカとのTAG交渉入りで合意しました。だが、アメリカに環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰を促すなど、多国間の枠組みを重視する基本戦略に変わりはありません。