欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は4日、EU域内の大半を国境検査なしで自由に移動できる「シェンゲン協定」を、12月までに正常化させるための工程表を発表しました。難民危機で同協定の「崩壊」を懸念する声も広がる中、加盟国に結束した行動を求める狙いがあります。


中東などから欧州への難民や移民の流入に歯止めが掛からない中、シェンゲン協定に参加する26カ国のうち、ドイツやオーストリアなど8カ国が一時的に国境管理を復活しています。自国内への難民の流入を阻止するために国境強化に動く加盟国も目立っており、EUが基本理念に掲げる域内の「移動の自由」は大きく揺らいでいます。

欧州委は国境管理が全面的に復活すれば、年間で最大180億ユーロ(約2兆2600億円)の経済的損失が生じるとの試算を提示しました。加盟国に個別対応を慎み、EUとして結束して難民問題に対応するよう訴えました。

工程表では、12月までに域内の一時的な国境管理をすべて解除し、シェンゲン協定を「正常化」させることを目標に掲げました。欧州委が提案しているEUレベルで域外国境警備にあたる「欧州国境・沿岸警備隊」を、遅くとも8月までに業務開始させることなどを明記しました。