米政府とタリバン 米軍完全撤退含む初の和平合意に署名

(NHK)2001年の同時多発テロ事件以降続くアフガニスタンでの軍事作戦をめぐり、アメリカ政府と反政府武装勢力タリバンは、アメリカ軍の完全撤退を含む初めての和平合意に署名しました。これを受けて、アフガニスタン政府とタリバンは3月上旬、直接対話を始める見通しですが、課題は多く、和平の先行きは見通せない状況です。

米政府とタリバン 米軍完全撤退含む初の和平合意に署名 - ảnh 1   アフガニスタンに駐屯している米軍の兵士

     (写真:ロイター)

アメリカのトランプ政権とタリバンは中東のカタールで29日、2001年の同時多発テロ事件を受けたアメリカの軍事作戦開始以降、初めてとなる和平合意に署名しました。

合意では、
▽アフガニスタンに駐留する1万2000人から1万3000人のアメリカ軍について、135日以内に8600人まで削減するとともに、
▽今回の発表から14か月以内に残りのアメリカ軍とNATOを中心とする国際部隊も完全撤退させるとしています。

また、
▽タリバンの戦闘員など人質の交換の手続きに直ちに取りかかることや、
▽タリバンに対する制裁の解除も進めるとしています。

ただ、その条件として、タリバンに対し、国際テロ組織アルカイダなどアメリカの安全を脅かすすべてのグループとの関係を断ち、アフガニスタンを再びテロの温床にしないことなどを求めています。

署名に同席したアメリカのポンペイオ国務長官は、「タリバンが合意を守るか見極め、その行動に合わせて撤退のペースを決める」と述べ、タリバンに対し、合意を守るようくぎを刺しました。

これに対し、タリバンの代表は「和平合意を十分に順守する用意ができている」と述べ、合意の履行に前向きな考えを示しました。

今回の合意を受けて、アフガニスタン政府とタリバンは3月10日に直接対話を始めるとしており、アメリカ政府高官は、ノルウェーの首都オスロで行われるという見通しを示しました。

トランプ政権としては、秋の大統領選挙を控え、アフガニスタンからの撤退を成果にしたいねらいがありますが、現地の治安が安定するかどうかや、激しく対立してきたアフガニスタン政府とタリバンが和解できるかなど課題は多く、和平の先行きは見通せない状況です。

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