米高裁、トランプ関税の差し止めを一時停止 復活で不透明感続く
(VOVWORLD) - アメリカ連邦巡回控訴裁判所は29日、トランプ大統領による広範な関税の大部分を差し止めた国際貿易裁判所の判断を一時的に停止し、関税措置を復活させる判断を示しました。
アメリカのトランプ大統領、2025年4月2日にホワイトハウスで新たな関税措置を発表(写真:REUTERS/Carlos Barria) |
ワシントンにある連邦高裁は、政権側の控訴を検討するため、下級審の判決を一時停止するとし、原告には6月5日までに、行政側には6月9日までに回答を提出するよう指示しました。
これに先立ち、国際貿易裁判所は28日、合衆国憲法が他国との通商を規制する独占的な権限を議会に与えていることを理由に、トランプ大統領が発動した一連の関税措置の大部分を違憲と判断し、差し止めていました。この判断を受けて株価は一時的に上昇しましたが、今回の高裁判断により、市場は方向感を失う展開となっています。
アメリカのベセント財務長官は、29日に出演したFOXニュースのインタビューで、日本を含む貿易相手国がアメリカと誠実に交渉を続けているとの認識を示しました。そのうえで、「貿易裁判所の判断後も、こうした国々の態度に変化は見られない」と指摘しました。
市場の反応を受けて、トランプ大統領は、ほとんどの輸入関税を90日間停止し、その間に二国間協定の締結を進める方針を明らかにしています。ただ、今月イギリスと締結した協定を除き、ほかの国々との合意は実現しておらず、関税をめぐる国際貿易裁判所の判決や控訴手続きの不透明さから、日本などの国々が早期の合意に踏み切れない可能性があると専門家は指摘しています。
フォービス・マザーズ・インターナショナル・アドバイザーズのチーフエコノミスト、ジョージ・ラガリアス氏は、「今後数日中に控訴審の判断が出ない場合、(貿易相手国にとって)主な利点は、準備のための時間的余裕と、当面は15%を超えない関税の上限設定だ」と述べています。
また、オックスフォード・リサーチの推計によりますと、国際貿易裁判所の判決に基づけば、アメリカの実効関税率は全体でおよそ6%に引き下げられる見通しでしたが、高裁による今回の緊急停止措置により、実効関税率は約15%にとどまることになるとしています。トランプ氏が就任する前の実効関税率は2〜3%程度でした。(ロイター)