(VOVWORLD) - 新型コロナウイルス感染症の第4波に襲われているホーチミン市は新型コロナによる死者が最も多い地方です。そのため、ホーチミン市は死者を最小限に抑えることを最優先課題の一つとしています。こうした死神との闘いにおいてはホーチミン市新型コロナ蘇生病院が最前線に立っています。
18日午前9時現在、ベトナムで出た新型コロナによる死者は6472人となり、その中で、ホーチミン市の死者は5197人で、全体の80%を占めています。こうした事態を前に、保健省はホーチミン市での新型コロナによる死者の抑制を最優先課題の一つと見なしており、ホーチミン市に医療資材・設備を優先的に提供しています。保健省はホーチミン市で緊急医療機器倉庫を設置し、2000台以上の人工呼吸器を始め、重症患者の治療に必要な多くの設備や医療機器を用意したほか、他の地方の医療関係者の多くをホーチミン市に派遣しています。
また、新型コロナによる死者を最小限に抑えるために、感染者を詳細に区別し、人的にも物的にも整った病院で重症患者を治療する方針です。保健省は、5つのレベルがあるピラミッド型の治療システムを構築しました。その中で、一番下のレベルは区レベルの医療施設で、感染者の区別、及び、症状がない、または、やや軽い感染者の受け入れに当たります。これらの施設に収容される感染者数は総数の約半分を占めるとされています。
二番目のレベルは仮設病院で、基礎疾患のある軽症患者の治療に当たります。三番目のレベルは症状がやや重い感染者の治療に当たります。四番目のレベルは基礎疾患のある重症患者の治療に当たります。そして、一番上にある5番目のレベルは蘇生病院で、命が脅かされている患者向けのものです。
これまで、ホーチミン市では、4カ所の蘇生病院が設立され、その中で、ホーチミン市ガン病院の敷地内にあるホーチミン市新型コロナ蘇生病院は最大の病院であり、初めての病院でもあります。7月の終わりに設立されたホーチミン市新型コロナ蘇生病院は1000の病床があり、新型コロナ重症患者の“最後の切り札”と例えられるエクモ(ECMO)=体外式膜型人工肺を始め、酸素濃縮装置やヘルス・モニター、電気式注射器、輸液ポンプなど死神との闘いに必要な設備と機器を整備しています。
しかし、この闘いでは、高度の診療機器の他、医師や看護師も決して欠かせない存在です。ホーチミン市新型コロナ蘇生病院のチャン・タイン・リン副院長の1日は、ICU集中治療室を始め、各病室を回って、患者の状態を見極めて、他の医師と治療方法を相談するという循環です。リン副院長によりますと、生死の境目にある患者を24時間体制で見極めるとともに、病症が悪化すれば、1秒も遅れることなく対応しなければなりません。防護服を着ると、死神と競争して患者の命をできるだけ守るという決意を固めなければなりません。入院者が増えつつあるので人手不足に直面しているこの病院の医師や看護師は1日平均14時間働いています。リンさんの話です。
(テープ)
「医師は看護師の仕事をするときもあります。また、看護師は介護士の仕事をするときもあります。患者の呼吸が止まったという警報ベルが鳴ると、私たちはできるだけ走って1秒も遅れず対応します。その時、私たちは1つの塊となって患者の命を守ることしか考えません。」
リンさんは蘇生分野で有名な医師なので、他の病院からも良く電話を受けて、生死の境目にある患者への対応に関するアドバイスが欲しいと依頼されます。ホーチミン市新型コロナ蘇生病院の医師フイン・クアン・ダイさんは次のように語りました。
(テープ)
「リンさんは一日、100回ほどの電話を受けていますよ。電話ベルが連続して鳴っているという感じがします。疫病がクアンナム省やダナン市、バクザン省などで拡大したときより、今回はかなりひどくなっています。私たちは全員、自分の使命をよく認識しており、全力を尽くしています。」
ホーチミン市新型コロナ蘇生病院のグエン・チ・トゥク院長によりますと、現在、この病院で働いている1500人以上の医師や看護師は、ホーチミン市の他の病院だけでなく、多くの地方からも派遣されています。皆は互いに団結し合って、できるだけ患者の命を守るために日夜死神と闘っています。トゥク院長の話です。
(テープ)「最も重要な対策は、重症患者の病症がさらに重くならないようにすることです。これは、医師らの最大の努力を求めています。私たちは患者の健康が回復するためなら、いくら大変でも構いませんよ。」
新型コロナとの闘いが長引く可能性があることから、医療関係者はより大きな役割を果たすはずです。その中で、生死の境目にある患者の命を守ることは蘇生分野の医療関係者に依頼することができるでしょう。