ベトナムの電子商取引の発展

(VOVWORLD) - まだ多くの課題もあるベトナムの電子商取引市場ですが、今やベトナム人の日常生活には欠かせない存在であり、また2025年までの成長率は40%とも推定されていることから、大きな可能性を秘めた市場と言えるでしょう。

新型コロナウイルス感染症がベトナム経済に大打撃を与えているにもかかわらず、電子商取引は一段と発展しています。電子商取引はこの数年、急速に発展していますが、多くの課題が残されているので、着実な発展に向けた政策が必要となっています。

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ベトナム商工省によりますと、ベトナムの電子商取引市場(eコマース市場)の規模は、今年130億米ドルに達する可能性が高いとのことです。実際、近年、ベトナムのeコマース市場は毎年30%以上のペースで成長しており、この3年間で国内の電子商取引市場は最も速いペースで成長しています。電子商取引は、小売業全体の売上の4.2%を占め、前年比0.6%増となり、ベトナム経済においてますます重要な役割を果たしています。この背景には、都市化の加速、インターネットやスマートフォンの利用者の急増、1人当たりの平均年収の増加、経済の成長などがあるとしています。

特に、今年に入ってから、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、全世界でeコマースの利用が急増しておりますが、ベトナムも例外ではありません。ベトナムではすでに新型コロナウイルスの感染者数が落ち着いており、経済活動と国民生活はほぼ完全に復活しています。そんな現在でもeコマースは成長し続けており、6月の時点で、ベトナムのトップ4の通販サイトへのアクセスは、前年同月比で150%も増加しています。

ベトナムの主要なオンラインショッピングプラットフォーム・Shopeeの統計によりますと、コロナ禍後のニューノーマル期間にも買い物客が増加しています。特に毎月定期的に食品を購入するユーザー数が3.5倍に増加したとしています。また、食料品の通販会社「Bach Hoa Xanh」のウエブサイトへのアクセスも、前四半期に比べて49%増加したそうです。

ベトナム経済研究所のレ・スアン・サン副所長は、新型コロナによるパンデミックは経済に大打撃を与えている半面、電子商取引に弾みをつけていると述べ、次のように語りました。

(テープ)  

「ベトナムの電子商取引市場は大きな潜在力に恵まれています。若い人口も多いですし、消費傾向も前向きです。インターネットとスマートフォンの普及率も高いですからね。しかし、電子商取引に関する問題がたくさん残されているので、企業が自らの競争力を高めるとともに、国が電子商取引の効果的な奨励政策を実施することは重要な課題となっています。」

先ごろの調査によりますと、ネット通販の問題点として、73%の利用者が商品の品質、61%が価格、45%が配送と答えました。また、38%が個人情報流出の可能性を懸念しています。その中で、「粗悪品が届くことが不安」という意見が明らかです。そのため、国は、電子商取引の利用者を守る法的基盤や、中小企業の参加を奨励する政策を充実させる必要があるとの意見が多くの専門家から出されています。ハノイ経済大学所属貿易・国際経済研究所のグエン・トゥオン・ラン教授は次のように語りました。

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「ベトナムの管理システムは、世界の電子商取引とデジタル貿易の進歩に徐々に近づいていますが、技術が急速に進んでいる現在、実際より遅れるところもまだあります。そのため、管理システムの根本的な改革は差し迫った課題となっています。電子商取引分野では、ベトナムは他の国より遅く始めたものの、追いつくはずだと思います。」

ベトナム商工省は、電子商取引の発展方向として、電子商取引プラットフォームを介した取引を促進させる方針です。同省はアマゾンと提携し、ベトナムの売り手に製品を海外に出荷する機会を与え、アマゾンの国際市場の3億のバイヤーアカウントに直接アクセスします。同省の電子商取引およびデジタル経済局のレ・ドゥク・アイン情報技術デジタルセンター長は次のように語りました。

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「私たちは関連各省庁と協力して、ベトナムのメーカーが国内外の電子商取引プラットフォームに参加することができるように取り組んでいます。これは国内企業の発展にとって大きな原動力になると思います。」

ベトナム商工省によりますと、電子商取引とデジタル経済に必要な健全なエコシステムを構築するための制度を完成させ、包括的な措置を講じ、地場企業が第4次産業革命の先進技術を適用することを支援してゆきます。また、2021年から2025年まで電子商取引開発に関するマスタープランを政府に提出し、地元企業の競争力向上のために最先端の技術開発を奨励します。そして、電子商取引の消費者を管理、監督、保護するための対策を包括的に実施し、全国の電子商取引決済システムや決済センターを含む電子商取引用のインフラを整備するとしています。

まだ多くの課題もあるベトナムの電子商取引市場ですが、今やベトナム人の日常生活には欠かせない存在であり、また2025年までの成長率は40%とも推定されていることから、大きな可能性を秘めた市場と言えるでしょう。

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