古本と緑を行き交う"リサイクルの環"

(VOVWORLD) - ベトナムの学生ボランティア団体「フライ・トゥ・スカイ(Fly to Sky)」は、毎年恒例の「古本と植物の交換」プロジェクトを実施しています。1年間使い古した教科書やノート、絵本を持ち寄ると、植木鉢や布ぶくろ、タネなど環境に優しい製品と交換できるのです。集まった本は分別され、最終的には恵まれない子供たちに無償で寄贈されます。
古本と緑を行き交う古本を観賞植物に交換している生徒たち

2018年に設立された同団体は、「清潔な水と衛生設備がない」「基礎医療にアクセスできない」「生計手段を持たない」「基礎教育を受けられない」「環境保護活動が行き届いていない」という5つの課題解決を目指しています。全国19の省や都市で文化・教育、保健、福祉、環境分野の70を超えるプロジェクトを実施する一方、メンバーはみな学生や大学生という若者たちです。

ホーチミン市では毎週末、一家総出で古本や古紙を第10区のこども会館に持ち込みます。そこで本のほか、おもちゃ、使用済み電池、牛乳パック、プラスチック製品を持参し、植木や環境に優しい製品と交換するのです。

第3区に住むバオ・トアンさんは、子供たちと一緒にこの活動に参加しています。トアンさんは、子供が熱心に参加したと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「本と植物の交換は、節約にもなり環境保護にも役立ちます。子供たちも資源の大切さを学べますね」

古本と緑を行き交う古本の重さを量っているボランティアたち

団体創設者のレ・ヴァン・フック代表によりますと、この取り組みは6年前から始まり、毎年10~20トンの本や紙を集めているそうです。昨年は1万人以上が参加し、16トンを超える本や紙、2万5千点の衣類やぬいぐるみが寄せられ、植物や環境製品と交換されました。

(テープ)

「年間に集まる何十トンもの古本や紙は分別され、500~700セットの教科書が遠隔地や山間部の恵まれない子供たちに無償で提供されます。また数万冊は『白鳩の本棚』プロジェクトで図書館や本棚として活用されています。学校、孤児院、障害者施設、福祉センターなどに送られています。このほかにも多数のボランティアが参加しています」

FPT大学生のトゥン・フンさんは5ヶ月前から同団体に参加しているそうです。最初は旧正月のイベントから関わり、今は本と植物の交換会にも携わっています。フンさんは、参加すれば参加するほどさらに貢献したいとし、次のように語りました。

(テープ)

「最初は自分の喜びを探し、社会に少しでも恩返ししたかったのですが、活動に参加するうちにもっと多くのことがしたくなりました。子供たちや周りの人々により多くの価値を届けたいと思うようになったのです」

今年の活動では2週間で既に2.5トン以上の本と紙が集まっており、7月28日まで毎週水曜、土曜、日曜に実施される予定です。

このプロジェクトは本のリサイクルを通じて環境意識の向上と植林、環境製品の普及にも一役買っています。そして何より、若者たちにコミュニティ活動の実践の場を提供しているのです。

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