新型コロナ感染者が初めてベトナムで確認されてから早いもので2年経ちましたが、プロの音楽家はもちろん、多くのアマチュア音楽家も新型コロナとの闘いを鼓舞する数千曲を制作しています。これらの作曲を奨励するとともに、よい曲を選んで集中的に紹介するために、先ごろ、ベトナム労働総連盟はベトナム音楽家協会と協力して「新型コロナとの闘いの最前線に立つメロディー」をテーマにした音楽制作コンテストを行いました。

ベトナムは音楽を新型コロナウイルスへの対応策として活用した初めての国で、国際世論の注目を集めました。音楽が新型コロナへの対応策として活用される動きはベトナム保健省が2020年2月23日に、Youtubeで「嫉妬したコロナさん」を公開したことから生まれました。若者の人気バンドのヒットソング「嫉妬」を替え歌にしたこの歌は陽気なメロディーにウイルス予防対策の作詞を合わせて、動画付きで子どもたちにも分かりやすく、ユーモラスに紹介しました。それ以来、ベトナム国民を鼓舞した多くの歌が作曲され、新型コロナとの闘いに大きく貢献しました。また、この動きは多くの国に広がり、新型コロナとの闘いにおいて人を激励する効果を上げていると評されています。

コンテスト結果の発表式

「新型コロナとの闘いの最前線に立つメロディー」をテーマにした音楽制作コンテストの応募期間は2021年8月19日から10月1日までに、935人の作曲家から1296点の応募がありました。一等はありませんでしたが、二等が3点、三等が6点、奨励賞が12点授与されました。その中で、二等賞の「医療関係者の進軍歌」という歌はコンテストの審査委員会からも一般人からも好評です。     

（テープ）「医療関係者の進軍歌」

お聴きいただいているのは「医療関係者の進軍歌」です。壮大な響きで強いメロディーを持つこの歌は聞き手の気持ちと情熱を鼓動させる効果があると言われています。「労働英雄」と「人民医師」といった2つの貴重な称号を持つ有名な医師グエン・アイン・チさんが作曲したこの歌の歌詞は、第4波の震源地であったホーチミン市へ派遣されるハノイの医師団を見送るときのチさんの気持ちを物語るものです。チさんの話です。

（テープ）

「この闘いは大変で厳しいものだという覚悟を疫病の震源地に赴く若者に固めてもらいたいと思います。そのため、それぞれの医療関係者は、この闘いに参加する決意と断固たる精神を持つ必要があるという歌です。また、この歌は新型コロナとの闘いに参加する時の誇りの現われでもあります。これは、ベトナムの医療部門の輝かしい歴史をつくるチャンスだと思います。」

今回のコンテストに応募した曲はジャンルやスタイルは様々ですが、共通点はこの2年間にわたる新型コロナとの闘いの最前線に立っている人たちをモチーフにしていることです。これらの曲は、患者の命を守るためにはできることは何でもするという医療関係者の姿や、いくら苦労しても封鎖地区に住む市民に食料品と生活必需品を提供できるようにしていた青年ボランティアの努力を描き出しました。これを通じて、コミュニティへの愛情や仁愛、責任感を持つだけで、全ての困難を乗り越えられるというメッセージを伝えているとされています。ベトナム医療労働組合のファム・タイン・ビン会長は、これらの曲は最前線に立っている人たちにとって大きな励ましになると述べ、次のように語りました。

（テープ）  

「第4波では、北部各地の医療関係者約2万人が南部各地に派遣されました。彼らは重症患者が多すぎて多くの死者が出たので、仕事で身体的にも精神的にも大きな圧力を受けました。そのため、彼らがこれらの曲を聞けば、自分たちへの全国民の分かち合いや尊敬、励ましが伝わったと思います。」

音楽には人々を鼓舞したり、一致団結したりなど人の心に響く素晴らしいパワーがあります。そのため、この2年、新型コロナとの闘いをモチーフにした数千もの曲が制作されました。実際、ベトナムは音楽を新型コロナウイルスへの対応策として活用しています。ベトナム音楽家協会のド・ホン・クアン会長は次のように語りました。

（テープ）  

「芸術、並びに、音楽は人間の心を支える強固な土台の一つだと思います。これらの曲は、全国民の一致団結や、他人と困難を分かち合う連帯感という気持ち、国が疫病を乗り越えることへの確信などを反映するので、聞き手の心の底に響くはずです。」

ベトナム音楽家協会はこれから、VOVベトナムの声放送局と協力して、「新型コロナとの闘いの最前線に立つメロディー」をテーマにした音楽制作コンテストに応募した作品を収録し、幅広くに紹介する計画があります。これは、全国民を大きく鼓舞することでしょう。