読書に対する子どもの興味を芽生えさせる

(VOVWORLD) - ベトナムでは、スマートフォンなどの普及により、「本を読む」という習慣を持つ人が減る傾向がありましたが、近年、読書文化を普及させ、中でも、読書に対する子どもの興味を芽生えさせる取り組みが広がっています。

最近はスマートフォンやタブレットなど、情報収集がどんどん便利になっている一方で、若者の活字離れが問題になっています。これはベトナムだけでなく、多くの国にとっても問題となっているようです。読書習慣がかなり固まっている日本でもその問題があり、毎年行われている読書に関する調査で、1年に1冊以上本を読む人の数が減少傾向にあるそうです。

ベトナムでは、公の場で、特に若者が本を読んでいるところはあまり見かけません。スマートフォンばかりいじっています。本をはじめとして印刷物というのは、社会と経済の発展にとって必要なものだと思いますので、スマートフォンは便利で、電子ブックの普及にも役立っているという効果があると言われているにもかかわらず、本の役割を完全に果たしているとはいえません。

読書に対する子どもの興味を芽生えさせる - ảnh 1 ズオンリエウ村の図書館で本を読んでいる子どもたち

本は単に知識を得るものではなくて、そこからいろいろ自分で考えるという思考のトレーニングになります。また、趣味としての読書はストレス解消にもなります。でも、インターネットやスマートフォンの普及で、本を読むということが減っていることが現状です。ある調査によりますと、フランスなどの先進国では年間平均読書数は20冊以上ですが、ベトナムはわずか4冊です。ちなみに近隣国のシンガポールは14冊、マレーシアでは10冊となっています。

こうした現状を前に、2014年にベトナム政府は4月21日を「ベトナム読書の日」に制定しました。これは読書習慣の普及を目指すものです。

実際、近年、ベトナム全国各地で、ブックフェスティバルや、本の見本市など様々なイベントが頻繁に行われています。また、地方では、村への本棚設置運動や本のフリーマーケットなども行われています。その中で、ハノイ郊外のホアイドゥク県ズオンリエウ村にある子ども向けの私立図書館は代表的な模範となっています。

7年前に、ズオンリエウ村で生まれ育ったグエン・バ・ルオンさんとフン・バ・フンさんは、村の子どもたちがテレビゲームに浸ったことを見て、「本は子どもをテレビゲームから救うことができる」と思ってこの図書館を設立することにしました。図書館は毎週、火・木・土の夜と、日曜日に開くだけですが、村の子どもにとって最も行きたいところとなっています

(テープ)

「私はあそこに行きたいです。面白い本がたくさんあるから。これらの本は高いですが、ここで無料に読むことができます。」

「ここは友達が一緒に本を読みますよ。とてもたのしい。」

子どもだけでなく、年を取った人もこの図書館によく行っています。74歳のフィ・ティ・リエウさんの話です。

 (テープ)               

「私はこの図書館によく行って本を読んでいますが、本を借りて家で読むこともあります。すべてが無料です。本を読むと、何となく気分がよくなる気がします。」

読書に対する子どもの興味を芽生えさせる - ảnh 2 ズオンリエウ村の図書館

図書館の管理者フン・バ・フンさんによりますと、ズオンリエウ村の人だけでなく、周りの人も来ていますが、ほとんどは子どもです。これは、図書館を設立した人の最も重要な目的です。フンさんの話です。

(テープ)

「私たちの最初の目的は、子どもたちに無料で本を読む空間を提供することです。また、本を読むと共に、子どもの成長に役立つ遊びをする場でもあります。」

現在、面積60平方メートルのこの図書館には2千冊の本がありますが、そのほとんどは子ども向けのものですが、最初は約300冊だけでした。この7年間、フェイスブックなどを通じて国内外の人々に本を贈ってもらうよう訴えています。また、お土産を売ったり、イベントを行ったりするなどによる収益を利用して本を買っています。先ほどのフンさんは次のように話しました。

(テープ)  

「図書館の本の95%は国内外の人々から贈られたものです。図書館が買った本はわずか5%です。幸い、図書館のことを知っている人が多くなっているので、贈られる本が増えています。この図書館の活動を維持するためには、責任感も子どもへの愛情も持つ協力者の役割がとても重要ですが、幸い、そのような協力者がたくさんいます。また、70人の学生がボランティアとして図書館の活動を助けてくれています。」

本は国の発展及び人間の成長に欠かせないものですから、これからも、読書文化を普及させ、特に、読書に対する子どもの興味を芽生えさせる取り組みが多くなってほしいです。

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