イスラム教に従うチャム族の結婚習慣

(VOVWORLD) - 南部メコンデルタのアンザン省は少数民族チャム族が多数暮らしている地方のひとつで、同省のチャム族のほとんどはイスラム教を信じています。アンザン省のチャム族の結婚習慣は、独自の文化的色彩が濃厚で、今なお固有の様式が残されています。
イスラム教に従うチャム族の結婚習慣 - ảnh 1モスクに向かっている新郎

(現場の音)

結婚式は3日間にわたって執り行われます。1日目は「家族の集まりと菓子作り」の日で、ハブム、タパイカガ、グティクリンの3種の菓子とカレーライスが用意されます。2日目は「ベッド入り」で、両家で祈りを捧げ、代表者から新婦新郎の幸せが祈願され、その後は村人を招いての食事会です。3日目は「新郎迎え入れ」で、新郎側から新郎を新婦の家に連れていきます。

結婚が近づくと、新郎側は果物の盆と、新婦の将来の生活に必要な衣服、頭巾、裁縫道具などの小物を持参します。新郎側の女性たちは新婦の結婚衣装と、祝宴の準備金としての「市場の金」と呼ばれる封筒を持ってきます。チャム族のリ・ソ・ラさんは次のように語りました。

(テープ)

「新婦側が新郎を受け入れれば、お金を用意するよう求めます。新郎側の経済状況で金額が決まり、裕福な家なら多額を、貧しければ少額でも構いません」

新婦家に赴く前に、新郎側はモスクで祈りを捧げ、参列者一同が新婦新郎の幸せと長寿を祈願します。チャム族の結婚式で最重要な儀式は、イジャブ&カブルと呼ばれる「引き渡し」です。通常は新婦の家やモスクで行われ、新婦の父親が新婦の面倒を新郎に委ねます。

(現場の音)

結婚式では、新婦は膝下まである長い絨毯のドレスに純白のレースケープを被り、腕輪、指輪、イヤリングなど数多くの装身具を身に着けます。一方の新郎は、イスラム教の伝統的な白いシャツにチャム族の祭りで用いられる「サパン」と呼ばれる頭巾を巻いて正装します。

イスラム教に従うチャム族の結婚習慣 - ảnh 2

チャム族の重要な結婚儀式の一つが、夕食後の新婦部屋での「銀貨拾い」です。水の入った鉢に10枚の銀貨を入れ、新婦新郎が同時に手を入れてそれを拾います。より多く拾えた方が、後の家庭生活で主導権を持つことになるのです。

近所の人々は協力して両家を手伝い、華やかな結婚式を実現します。新郎を新婦の家に迎える行列には、村の有力者が新郎の手を引き、太鼓と笛の賑やかな音色が響きわたります。サ・ティ・ナさんは次のように語りました。 

(テープ)

「新郎は王のような衣装で、新婦を迎えに行きます。昔は人力車を使いましたが、今は自動車に乗ります」

結婚式後、新郎は最初の3日間を新婦の家で過ごします。その後は両家で話し合い、新郎が新婦家に居候するか、新婦が実家を離れるかを決めます。チャム族の昔からの慣習では、新郎が新婦家に居候するのが一般的でした。そのため新郎を新居に送り出す儀式が行われるのです。ハ・ジ・サ・リーさんは次のようのように話しました。

(テープ)

「イスラム法では、家族の財産相続は男性が2分の2、女性が2分の1です。ですから結婚後は夫が妻の家に行き、妻と姑の世話をするのが夫の務めなのです。結婚式当日は新郎側が食事を用意し、近所中を招待します。そして新郎を新居に送り出すのです」

現代のチャム族の結婚式も、基本的な伝統は残しつつ、現代化への適応を見せています。新郎新婦の好みや家計に合わせて、衣装の色や形、装身具などが選ばれます。3日目の儀式では足洗いや銀貨拾いを省略したり、モスクではなく新婦の家で行うことも可能になっています。

ご感想

他の情報