トゥラオ族の綿栽培と手織り技術 - ベトナムの無形文化遺産

(VOVWORLD) - トゥラオ族は、テイ族の一支族で別名黒テイ族とも呼ばれます。人口約1400人がラオカイ省ムオンクオン県とシマカイ県に住んでいます。この民族は独自の習慣、信仰、伝統的な職業を守り継いでおり、綿花栽培と手織りが代表的な職人技です。
トゥラオ族の綿栽培と手織り技術 - ベトナムの無形文化遺産  - ảnh 1手織りの布をチェックしているトゥラオ族の女性たち

(トゥラオ族の民族音楽)

タオチュフィン村サンチャ集落では、代々の女性たちが綿を育て、織物を製造してきました。彼女たちが紡いだ独特の色彩の衣服は、手間暇をかけた機織(はたお)りと染色の賜物です。タオチュフィン村人民委員会のタオ・ア・ジン副委員長は、トゥラオ族は自家栽培の綿から全ての伝統衣装を作っていると話しました。

(テープ)

「綿栽培には多くの工程があります。まず良質の種を選び、2、3月に種をまきます。湿った土地を耕し、そこに植えます。栽培中は一切農薬を使わず、手作業で草取りをするのがコツです」

播種から収穫まで4、5カ月かかりますが、天候次第でそれ以上の期間を要することもあります。十分な水と土壌の養分があれば、その期間内に収穫できます。スン・ア・ジン氏はさらに次のように語りました。

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「7、8月に収穫が始まり、10月になると綿を選別します。この時期は農閑期だからです。選別後は紡績、染色を経て、ようやく織物になります」

経験から、トゥラオ族は最高級の綿を選んで衣服を織り、等外品は敷物やクッション綿に使います。衣服用の高級綿は、巧緻な手技が求められる紡績工程が難しいそうです。  

(手織り機の音)  

タイ・ティ・マイ氏も糸紡ぎの工程は複雑だと述べ、次のように語りました。

(テープ)

「製糸は天気の良い日を選びます。まず綿を煮て乾かし、紡いで撚り、染色します。全工程で日光に充分当てるのがポイントです」

トゥラオ族の手織り機はユニークな作りで、フレームには虫食いや割れのない丈夫な木材を使います。スン・ア・ジン氏が次のように説明しました。

(テープ)

「モン族の織機と基本は同じですが、トゥラオ族の機織り機は精緻で、経糸と緯糸が交差します。織り上がってから模様をつけます」 

こうした素朴な道具を使いながら、サンチャ集落のトゥラオ族の女性たちは、自家製の綿から伝統的な織物や衣服を作り続けてきました。タオチュフィン村党委員会のスン・セオ・ホア委員長は次のように語りました。

(テープ)

「トゥラオ族は代々、織物技術を守り受け継いできました。彼らの着る衣服は全て自家製の織物です。若者も製作できるので、この伝統は後世に継承されるでしょう。当局も彼らの民族アイデンティティーを保護・継承する計画を立てています」

次世代への技術伝承と並行し、地元当局は綿織物産業の振興を目指します。タオチュフィン村婦人会長のタオ・ティ・サオ氏の話です。 

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「婦人会では、綿栽培・織物製造への融資支援や、生産組合、協同組合結成のプログラムを上部団体に提案しています。それによって国内外での綿織物販売の連携体制が整うはずです」

今年の4月24日、トゥラオ族の伝統織物技術は文化スポーツ観光省によりベトナムの無形文化遺産に指定されました。この指定によって、トゥラオ族の独自の文化価値とシマカイ県の少数民族文化の保護・継承が有利になると期待されています。

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