タクシン舞踊 サンチャイ族が誇る文化遺産

(VOVWORLD) - ベトナム北部タイグエン省に暮らす少数民族サンチャイ族の村では、「タクシン」と呼ばれる独特な舞踊を見ることができます。この舞踊は豊作祈願や天地神への感謝、村の繁栄を祈る儀式として古くから受け継がれてきました。現在では国の無形文化遺産に認定され、タイグエン省の観光資源としても注目を集めています。
タクシン舞踊   サンチャイ族が誇る文化遺産 - ảnh 1タクシン舞踊

(現場の音:タクシン舞踊の披露会)V5 18 - 23/11 SMDT MUA TAC XINH 1

タクシン舞踊は、サンコという伝統歌謡とともに、タイグエン省フールオン県に暮らすサンチャイ族の歴史を彩ってきました。シンプルなリズムと分かりやすい身体表現が特徴で、他の民族舞踊と異なり、今日まで原型が保たれています。観客は舞踊を通じて、サンチャイ族の生活や習慣を自然に理解することができます。

フールオン県ドンティエン村の芸能団長、ホアン・ティ・ハン氏は次のように語りました。

(テープ)

「この舞踊には、道の探索や村の建設、刀研ぎ、畑仕事、収穫、収穫祭、鳩の動きなど、私たちの生活や労働の様子が表現されています」

豊作祈願の儀式では、祭司と祈祷師に扮した2人が竹筒を使って独特の音を奏でます。片手で竹筒を顔の高さまで上げ、もう片手で2回叩いて「タク、タク」という音を出し、次に地面に打ち付けて「シン」という音を作り出します。この単純な2つの音が8回繰り返され、独特の旋律を生み出すと、舞踊団がグループに分かれて調和の取れた踊りを披露します。

フールオン県ドンティエン村の芸能団のメンバーであるチャン・ティ・ヌーさんは次のように語りました。

(テープ)

「タクシン舞踊で使われる小道具や楽器、リズムは他に類を見ない独特なものです。主な楽器は竹で作られた打楽器で、「タク」と「シン」という2つの音を奏でます。タクの音に合わせて踊り手は足を上げ、シンの音で足を踏み下ろします。この動きを含む9つの基本動作が、舞踊の最初から最後まで繰り返されます。また、『ネウ』と呼ばれる長い竹も重要な小道具として使われます。これは豊作を願う象徴であり、特に稲やトウモロコシの豊かな実りを祈願する意味が込められています。収穫期が近づくと鳩が飛来するという言い伝えがあり、これは豊作の前兆とされています。『ネウ』は見る人に楽しさや自然の美しさを感じさせる効果もあり、舞踊に華やかさを添えています」

タクシン舞踊   サンチャイ族が誇る文化遺産 - ảnh 2

現在、タイグエン省ではこの文化遺産を観光に活用しており、サンチャイ族の各村には芸能団が組織されています。フールオン県の広大な茶畑に囲まれた村々では、ホームステイ観光の一環としてタクシン舞踊が披露され、訪れる人々に深い感動を与えています。

サンチャイ族には、踊り手が多く、音楽の演奏が調和のとれたものであるほど、神々の加護を得て豊作に恵まれるという信仰があります。タクシン舞踊は彼らのアイデンティティの象徴として、また共同体の絆を強める重要な文化として、大切に受け継がれています。

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「サンチャイ族の人々は、伝統文化を守り継ぐため、世代を超えて舞踊の練習に励んでいます。経験者が初心者や若い世代に技を伝授し、特に子どもたちへの指導に力を入れています」

(テープ)

「現代のニーズに合わせて振付けにも工夫を凝らしています。例えば、踊り手が互いに交差する場面では、観光客も気軽に参加できるような振付けを取り入れ、伝統芸能を通じた交流の機会を創出しています。」

何世代にもわたって伝えられてきたこの伝統芸能は、タイグエン省を代表する国家無形文化遺産としてだけでなく、ベトナムの多様な民族文化を象徴する貴重な遺産としても高く評価されています。

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