ホァビン省(Hoabinh)は首都ハノイから北西へ約100キロほど離れた所にあります。この省のカウフォン県(Caophong)は、魅力的な観光地としてよく知られているトゥンナイ村(Thung nai)があります。この村の風景は「森の中で眠る美女」に例えられました。トゥンナイ村はホァビン省の省都から25キロ離れたところにあります。
地元の住民たちの言い伝えによりますと昔、この村は高い山に囲まれた谷にあり、トラやキリン、鹿などのたくさんの希少な野生動物が生息していました。特に鹿の群れがゆっくりと谷川に歩んむ姿は村の人々の記憶に刻まれたので、この村は「トゥンナイ」つまり「鹿の谷」と名付けられました。
1979年から、ホァビン省でベトナム最大の水力発電所の建設プロジェクトが開始され、1994年に完成しました。これにより、この発電所の貯水湖の水位は上がり、水は溢れています。これにより、トゥンナイ村はベトナムのスモールハロン湾と言われています。ホァビン省のダー川で船を漕ぐ人であるグェンハンさんは次のように語りました。
(テープ)
「ホァビン水力発電所の貯水湖が形成してから、水位が上昇し、いろいろな島を作り出しました。雨季になると川の流れが急な所が多くなり、船の往来は危険になります」。
トゥンナイ村は山、森、湖などの様々な美しい風景を結合させる絵に例えられています。その上、この村には多くの史跡が保存されています。特に、歴史ある古い村を訪れるならば、必ずタクブゥ鍾乳洞の美しさを楽しみます。鍾乳洞の石灰岩は中がスカスカになっていて叩くといい音がします。その音はホァビン省に住む少数民族ムオン族の人々の演奏による銅鑼の音のようです。
地元の人々の言い伝えによりますと、昔、鍾乳洞は村の女神の蔵でした。鍾乳洞の中には金の木と銀の木と呼ばれる二つの石灰岩があります。現在でも、鍾乳洞の中には山の神様を祀る祭壇が残されています。先ほどのグェンハンさんは次のように話しています
(テープ)
「昔、この川は川瀬が深く急な所がありました。ですから、この川を往来する船頭は無事に家に帰れるよう願い、この鍾乳洞の中に線香をあげました」
トゥンナイ村の風景は夕暮れになると、一層美しくなります。日差しは湖を照らして輝き、幻想的な紫色を作り出します。湖面にゆっくり流れる3隻の船もロマンチックな風景を織り上げます。限りない湖面から緑の山を見上げる、山間にある少数民族の高床式の家が見えます。
日没後、村は闇の中に入ると、音楽メロディが響き渡ります、家族は高床式の家の暖かい火を囲んで、伝統的な料理を楽しみます。特に、月の輝く晩はこの村を更に一層美しくなります。一度トゥンナイ村を訪れるときっと、この地を忘れられなくなるでしょう。