(VOVWORLD) -従来の農業が多くの課題に直面する中、ベトナム北部フンイエン省の多くの農家は、畜産や耕作においてグリーン農業、循環型農業生産モデルといったハイテク農業を果敢に導入しています。これらのモデルは、経済と環境の両面で相乗効果を発揮し、現地の農業生産にブレイクスルーをもたらすことに貢献しています。
バイオベッドを用いた鶏の飼育場(写真:baohungyen.vn) |
フンイエン省トゥイアイン村ドン集落のブイ・グエン・チャットさんの家族は、約1ヘクタールの敷地で採卵鶏の飼育を行っています。従来の飼育方法とは異なり、チャットさんはバイオベッドを用いた鶏の飼育技術を適用しています。排泄物は鶏舎内で直ちに処理され、悪臭の発生や疾病の蔓延を抑制するため、鶏の安定的な発育に役立っています。この農場は、およそ6000羽の鶏から、毎日3000個余りの卵を市場に出荷しています。敷料の交換は年間わずか2~3回で済み、その後は作物の肥料として再利用されるため、コスト削減と収入増の両方を実現しています。
チャットさんは次ぎのように述べています。
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「現在、このようにしなければ、農場モデルでの畜産は困難です。閉鎖型農場での畜産なので、生物学的敷料を使用しなければなりません。1ロットの飼育期間は1年あまりかかりますが、敷料の交換は3~4回程度です」
果樹園・養魚池・産卵アヒルの養殖を組み合わせたモデル
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ドン集落でも、 一部の世帯がアヒルと魚の複合養殖モデルを展開しています。収益性の低い水田を養殖池として再整備し、循環水処理システムを備えた密閉型のアヒル小屋を設置しています。
池で泳ぐアヒルが水に酸素を供給し、また、アヒルの餌の繊維質や排泄物を魚の餌として活用します。これにより、池の水は常にきれいに保たれ、魚は早く成長し、魚の餌代が削減されます。同時に、環境汚染や家畜の病気のリスクも軽減されます。
この果樹園・養魚池・産卵アヒルの養殖を組み合わせたモデルにより、一部の世帯は年間1億5千万~2億ドン(約5700~7600米ドル)の収入を得ています。
現在、トゥイアイン村では30世帯がこの循環型農業経済モデルで成功を収めています。排泄物や副産物を再生産に活用することは、安全な製品を生み出し、無駄を減らし、環境を保護するだけでなく、近代的で持続可能な、気候変動に適応した農業の新たな方向性を開くものです。
フンイエン省トゥイアイン村農民協会のゴ・ヴァン・フック会長は次のように述べています。
(テープ)
「祖国戦線や各団体も、学校や企業と連携し、研修会を開催したり、科学技術を移転したり、農村労働者向けの職業訓練クラスを行ったりしています。これに加え、組合員や農場主、小規模農家に対し、閉鎖循環型養殖技術を実施するよう働きかけています」
トゥイアイン村における循環型農業経済モデルの成功は、住民の所得向上と生活改善に貢献するだけでなく、環境保護、村の緑化、清潔さ、美化にも繋がっています。同時に、近代的で効率的かつ持続可能な農業を構築するための経験として、このモデルの普及が期待されています。
一方、トンチャン村では、「アンティンファット」という名前の青果・薬用植物生産協同組合は、科学技術を応用したグリーン農業生産の模範の一つとなっています。組合長のブイ・ヴァン・フオンさんは、約3ヘクタールの敷地に温室システムを導入し、オーガニック基準に従ってメロン、キュウリ、トウガラシ、トマトなどを栽培しています。厳格な栽培・収穫プロセスを遵守しているため、協同組合の製品は常に高い生産性と品質を達成し、市場から好評を得ています。
2024年、同協同組合は市場に約80トンのメロン、約50トンのマヤキュウリ、12トンのパプリカ、トマトなどを供給し、30億ドン以上(約11万3700米ドル)の収益を上げました。
フオン組合長は次のように語っています。
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「現在、当協同組合のメロン、およびキュウリはOCOP一村一品製品として認定されています。現在の市場は非常に安定しています。GO!やAEONなどのスーパーマーケットチェーンに製品を供給するパートナーへの提供に加え、私たちは専門店チェーンやギフト販売チャネルにも提供しており、非常に良い反応を得ています」
今後、「アンティンファット」協同組合は、市場に向けた安全で高品質な農産物の生産面積を拡大し、生産量を増やす予定です。フンイエン省農業環境局のグエン・ヴァン・チャン副局長は、次のように述べています。
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「これは、ハイテク農業生産を実施する上での典型的な模範です。ハウスやネットハウスを活用し、省内でも経済価値の高い野菜・果物の一つであるメロンを栽培しています。これはまた、農業部門と各地方行政府が、農民に対し、このようなモデルへの投資を奨励するための方向性でもあります」
科学技術を大胆に導入し、環境保護意識を高め、地域の資源を効果的に活用することで、農家は経済的価値を高めるだけでなく、安全で環境に優しい生産エコシステムを構築することができました。これは、フンイエン省が重点生産地域をさらに拡大していくための基盤となるだけでなく、他の多くの地域に普及させるための貴重な経験となり、将来的にベトナム農業をより環境に優しく、クリーンで、持続可能なものにする一助となるでしょう。