アラビカ種コーヒー チェンアンの地元経済をよみがえらせる
(VOVWORLD) - ベトナム北部山岳地帯ソンラ省ソンラ市チェンアン地区は、現在、高品質のアラビカ種コーヒーの一大生産地として注目されています。緩やかな丘陵地に広がるコーヒー畑は、地元住民に新たな収入源をもたらし、多くの農家が貧困から脱し、安定した生活を築く原動力となっています。
2025年、同地域では収穫量の高いアラビカ品種の導入や最新技術を活用した栽培方法、そして協同生産組合の運営が進められています。
ソンラ市中心部から車で数分。標高900メートルを超えるチェンアンの
コーヒー畑 |
コーヒー畑では、一年を通じて涼しい気候のもと、アラビカ豆が枝いっぱいに実り、鮮やかな緑が広がります。豊かな香りと爽やかな酸味を持つ豆は、多くの企業によりスペシャルティコーヒーとして買い付けられています。
2025年の統計によりますと、チェンアン地区全体のコーヒー栽培面積は350ヘクタールを超え、そのうち、80%以上が高収量アラビカ品種です。1ヘクタール当たりの平均収量は15〜18トンの生豆で、2020〜2023年期と比べ10〜12%増加しました。こうした数字は、集約的な栽培の成果だけでなく、地域の農業経済に対する考え方の転換を示しています。ソンラ省チェンアン地区人民委員会のギエム・ヴァン・トゥアン委員長は次のように話します。
(テープ)
「アラビカ種コーヒーを地元経済を支える主要作物と位置づけています。今後は有機栽培の拡大に力を入れ、老齢化した品種を順次、新しい品種へと切り替えることで品質向上を目指します。今年は収量も価格も好調で、住民の生活はさらに豊かになると期待しています。」
チェンアン地区タムクイン集落の集落長、カー・ティ・トゥオンさんの農園では、真っ赤に熟したコーヒーの実が今年の豊作を物語っています。同集落は収穫量の高いアラビカ種への転換をいち早く進めた地域の一つです。トゥオンさんは喜びを込めて語ります。
(テープ)
「タムクイン集落は全体で772ヘクタールあり、平均すると1ヘクタールあたり8トンのアラビカコーヒー豆を収穫できます。今年は豊作で、どの家も大きな収入になるでしょう。平均で1世帯あたり1億ドン(約3800ドル)は得ていますし、最も多い家では10億ドン(約3万8000ドル)を超える見込みです」
トゥオンさんのケースは特例ではありません。チェンアン地区では700世帯以上がコーヒー栽培を生業としており、年平均所得は120万〜150万ドンに達し、地域経済、さらにはソンラ市全体の成長を支える大きな柱となっています。
現在、ソンラ省は国内最大のアラビカ生産地で、栽培面積は2万ヘクタール以上、ベトナム全体のアラビカコーヒー栽培面積の約6割を占めています。スペシャルティコーヒーの品評会や焙煎企業、輸出事業などを通じて、「ソンラ・アラビカ」は次第に国家ブランドとして定着しつつあります。
ソンラコーヒー協会のヴォン・ヴァン・ハイ会長は次のように述べます。
(テープ)
「ソンラのコーヒー産業は、スペシャルティコーヒーを中心とした高品質生産へと方向転換を進めています。地理的表示(GI)が認められてからは、協会や企業が一体となって、その名称にふさわしい品質基準を守り、環境に配慮した製造を徹底しています」
チェンアン地区は現在、環境保全と持続可能性を重視した「コーヒー経済」の一体型モデル構築を目指しています。コーヒーは地域の新しい思考と挑戦の象徴であり、現代的な農業経済への道を切り開く存在です。