ベトナムは農業の発展に向けた様々な有利な条件に恵まれていますが、農業生産に科学技術、特に情報技術の活用を行なう企業はいまだ少ないという現状です。
この2年間、ベトナム軍隊通信グループ・ベトテルは、南部メコンデルタ地域において、同社が開発した農家向け農業情報サービス「Agri.ONE」を展開しています。
「Agri.ONE」は農家・企業・団体・専門家を結び、農家が農業に関する様々な情報を得ることができるというサービスです。同サービスの利用者は、◇ウェブサイト、◇SMS、◇コールセンターへの電話、◇スマートフォンのアプリケーションの4つの方法により、資金借入れ、種苗・種エビの選定、耕作・養殖に影響する天候、耕作・養殖技術、肥料、農薬、生産する商品の値動きなどの情報を容易に入手できます。また、個々の利用者の利用履歴がデータベースに保存されるため、これを元に専門家が的確にアドバイスすることができる仕組みとなっています。現在、およそ120万人が、稲、コーヒー、エビ、魚に関する4パッケージを利用しています。
ベトテル社・新サービス開発センターのブイ・クアン・フィセンター長は「近日中に、我が社は中部高原地帯テイグエン地方の5省と南東部6省にこのサービスを、そして、将来、全国にもサービスエリアを拡大する計画がある」と明らかにし、次のように語っています。
(テープ)
「農業にIT情報技術を適用すれば、GDPの成長に寄与しできます。でも、山岳地帯や、僻地に住む農民にとって情報技術の活用は難しいようです。それに、IT利用者が都市部に集中しています。そこで、農業へITの導入は経済社会の発展、農民が豊かになると共に、会社の利用者の増加にも寄与するからです。」
一方、2015年から2016年の1年間、ベトナム通信株式会社FPTは、日本の富士通と連携して、ハノイ市ザラム区とホーチミン市のハイテクパークで、 食・農クラウド『アキサイ』を活用した実証実験を行なっています。富士通は、クラウドサービスと関連機器をはじめ、これまで『アキサイ』で培ってきたノウハウを提供し、FPTはベトナムにICTを活用した農業技術の普及、発展を促進します。具体的には、ベトナム ハノイにITを活用した温室を建設し、農作物の施設栽培を行います。施設栽培を行う温室は、政府機関をはじめ、農業分野に関心を持つベトナムの関連企業に農業技術を紹介するショールーム的な役割も果たします。
FPT社取締役会長のチュオン・ザー・ビン氏は次のように明らかにしています。
(テープ)
「情報通信技術を活用して、精密化などを進めた次世代農業をスマートアグリカルチャーは突破口であり、労働効率の増加に寄与しており、農業発展と各経済セクターを結んで高付加価値農業作りに役立ちます。このことは、ベトナムの農業を強化し、ベトナムが世界で主要な農業生産拠点となることを目指していきます。」
ベトナムは農業国であり、情報通信技術も発展している国です。それに、携帯電話を利用する農民の割合及びインターネットの普及率も高いです。しかし、農村部における情報技術の活用はまだ小数です。そこで、ベトナム政府は、農業へのIT活用に社会化を実現します。これは、情報技術部門の発展を図るだけでなく、ベトナムにおけるスマートアグリカルチャーの発展に大きなチャンスを与えることでしょう。