新しい農村作り運動を行っているベトナムですが、南部のメコンデルタ地域では、官民一体となって、大規模な農業経営プログラムが実施されていて、大きな成果を収めています。
「大きな田んぼ作り」と呼ばれるこのプログラムは、その周辺地域一体を一つの“大きな田んぼ”と見立て、多くのモデルファームで行われています。そこでは、現場の生産者の知識を活かし、最新技術を導入することで、環境に優しい安全な米を作ることができます。農業分野に携わる企業は、農業協同組合と協力して、農業機器や肥料などを生産者に提供し、できた米を買い取ります。この「大きな田んぼ作り」は、これまでに、北部のタインホア省やタイビン省、ハノイ市でも大規模に展開されています。農業農村開発省、農産物栽培局のフアン・ホン・クアン局長は次のように話しています。
(テープ)
「ナムディン省、タイビン省、バックカン省、ハイフォン市といった北部の地方政府は、“大きな田んぼ”での米生産プログラムを効果的に実施するため、生産者と協力企業に支援を行っています。農業協同組合の役割を十分に活用して、双方の緊密な協力関係を築きます。」
また、中部と南部でも、この「大きな田んぼ作り」プログラムが積極的に行われています。ビンディン省では、およそ3000人からなる農業協同組合が結成されて、新しい稲作方法が効果的に実施されています。これによって、米の質の向上や生産コストの削減が実現し、米を買い取る企業も増えました。ビンディン省農業協同組合のバンバズーさんは次のように話しています。
(テープ)
「“大きな田んぼ”という概念によって、みんなが米の生産に足並みをそろえるようになりました。北部それぞれの省の生産者は、一斉に田植えや稲刈りを行います。まだ生産高は確定していませんが、この“大きな田んぼ”によって、数字はかなり上がるのではないかと期待しています。」
バンバズーさんは、このように話しました。
現在、農産物の小売価格は低くなっていますが、原価は高く、生産者にとって厳しい状況です。こうした背景の中、この「大きな田んぼ作り」プログラムは、生産者の努力と企業の支援を得て、著しい成果を収めています。中部ゲアン省の農業機械メーカーのグエンティミングエットさんは、次のように話しています。
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「生産者の収益は、10%から15%上がっています。企業は、種や肥料を安く提供し、農業協同組合から、その収穫された全ての米を買い取ります。“大きな田んぼ”で作られる米は、今後、海外へ輸出されることも期待されています。」
グエンティミングエットさんの話にもあったように、“大きな田んぼ”で作られた米は、海外へも輸出される見込みです。“大きな田んぼ作り”プログラムのこういった成果は、ベトナムの新しい農村作りに大きなメリットをもたらすことでしょう。